日本大百科全書(ニッポニカ) 「クニーチ」の意味・わかりやすい解説
クニーチ
くにーち
Theophil Josef Rudolf Knietsh
(1854―1906)
ドイツの化学技術者。ベルリン工科大学卒業。1898年、バーディシェ・アニリン・ウント・ソーダ・ファブリク社(現、BASF)において接触法による硫酸製造法の工業化に成功し、無機化学工業を一新した。19世紀後半、濃硫酸の需要は合成染料工業の発展により拡大したが、濃硫酸はそれまでの鉛室法では生産できず、硫酸鉄を乾留して得られていた。クニーチは白金を触媒として過剰の酸素の存在下で亜硫酸ガスを無水硫酸とする方法を完成した。この接触法硫酸製造法の工業化によって、アリザリンやインジゴのような合成染料が大量に生産できるようになった。また1888年に塩素ガスの工業的液化法を完成した。
[加藤邦興]