硫酸製造法の一種。正しくは鉛室式硫酸製造法というべきであろう。鉛室とよばれる大きな容積の鉛張りの部屋の中で、二酸化硫黄(いおう)を窒素酸化物で酸化して硫酸を製造する方法をいう。焙焼炉(ばいしょうろ)で発生させた二酸化硫黄を空気と混合して、まずグラバー塔に導き、ゲイ・リュサック塔からきたニトロシル硫酸HSO4・NOに接触させる。ここで一酸化窒素が遊離し、二酸化硫黄とともに鉛室に入る。鉛室の上部からは水が注がれ、二酸化硫黄とニトロシル硫酸と反応し、硫酸(鉛室硫酸)が生成する。このとき同時に生成する一酸化窒素の半分が空気で酸化されて二酸化窒素となり、ゲイ・リュサック塔に送られて硫酸と反応し、ニトロシル硫酸となって回収され、グラバー塔に送られてふたたび酸化に用いられる。1746年にイギリスのバーミンガムで、この方法による硫酸工場が操業を開始している。鉛室硫酸の濃度は60~80%と低く、不純物も含まれていて用途が限られるため、鉛室法は日本ではほとんど廃絶している。
[足立吟也]
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…繊維の漂白は,それまで,海藻や木炭などの灰汁に浸し,天日にさらし,それから酸敗ミルクで中和するという方法であったが,この時代にはソーダと硫酸が使われるようになった。硫酸は,1749年にイギリスのJ.ローバックが硫黄を原料として鉛室を用いる方法(鉛室法)で大量につくることに成功し,また91年にはフランスのN.ルブランがルブラン法によるソーダの工業化に成功した(ソーダ工業)。こうして18世紀末には,硫酸とソーダという基礎化学品が工業化されることになった。…
…1742年ライデン大学で医学の学位をとり,バーミンガムで開業したが,医療よりも化学の実験に多くの時間をさいた。46年鉛室を用いて硫酸を製造する〈鉛室法〉を発明し,硫酸の製造法に革命をもたらす。その後,製鉄業に関心を向け,59年製鉄所を建設し製鉄法に種々の改良を試みて成功した。…
※「鉛室法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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