クラミドモナス(読み)くらみどもなす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラミドモナス」の意味・わかりやすい解説

クラミドモナス
くらみどもなす
[学] Chlamydomonas

緑藻植物クラミドモナス科のプランクトン性淡水藻。鮮緑色で、細長いイチゴの実を小形にしたような形状で、長い2本の鞭毛(べんもう)をもち、遊泳性のある単細胞藻。ときには鞭毛を失って不動の球体となるが、不動期でも、以前からもっている赤色眼点をもち続け、さらに大きさも15~30マイクロメートルくらいとなるので、眼点をもたない小さいクロレラなどとは区別できる。各地の淡水池中に普遍的に発生するプランクトン性藻で、冬季以外は、いつでも出現する。

 クラミドモナスは、体が縦に分裂して2個体になるという無性生殖で急速に殖えていくが、ごくまれに、2個体の合体による有性生殖も行う。この際、形態的には雌雄識別ができない個体間で行われるため、かつてはある種の化学物質によって人工的に雌か雄かにすることができるという説も生まれた。しかしその後の研究で、それほど単純なものではないとの異説が出され、なお検討が続けられている。

[新崎盛敏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラミドモナス」の意味・わかりやすい解説

クラミドモナス
Chlamydomonas

オオヒゲマワリ目クラミドモナス科の最も下等な緑藻類の1属。藻体は微小で楕円体あるいは卵形単細胞,単核,壺状の葉緑体ピレノイドを内蔵し,頂端に眼点がある。等長の2鞭毛を出している。分裂によって増殖するが,2個体間に接合が起ることも知られる。きわめて普通に貯水槽,池などの水たまりで発見されるが,被嚢の形で休眠することもある。分類学上ボルボックス目に入れられる一方コナヒゲムシと名づけ,鞭毛生物として扱われることもある。

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