翻訳|croup
子どもの喉頭閉塞による呼吸困難や咳,喘鳴(ぜんめい),嗄声(させい)(しわがれ声)などの症状をさす。しかし慣用的には,これらの症状を呈する疾患名として,古くはジフテリアを,現在では急性喉頭気管気管支炎をさし,さらに広義には,喉頭の急性閉塞性病変の総称ともされて,仮性クループや異物の吸入,急性喉頭蓋炎などを含むこともある。古くスコットランドで〈しわがれ声で泣くこと〉〈カラスやカエルが鳴くこと〉などの意味で使われていたこの語を,1795年にエジンバラの医師ホームFrancis Homeが医学用語として用いたことから,症状名として用いられるようになった。疾患名としては,トキソイドの普及や抗生物質の開発などによって,ジフテリアが減少した現在,代わって急性喉頭気管気管支炎(声門下喉頭炎)をさす。
主としてパラインフルエンザウイルスの感染(さらにブドウ球菌や連鎖球菌が2次感染することが多い)による声帯より下方の気道(気管さらには気管支)の炎症である。細胞浸潤,繊毛上皮破壊,フィブリン析出がおこり,偽膜が形成され,とくに声門下1cm付近で気道が著しく狭まり,呼吸困難をおこす。日本には少ないが,生後6ヵ月から3歳の乳幼児によくみられ,発熱,咳,鼻風邪などの症状に続いて,急激な呼吸困難がおこる。症状が出ると,加湿,酸素吸入,ステロイドや血管収縮剤の吸入や抗生物質の投与などの治療を行っても,治るまで3~14日を要する。重症の場合は,気管内に管を挿入したり,気管切開が必要となる。なお,急性喉頭気管気管支炎と混同されやすい仮性(痙性(けいせい))クループは日本にもしばしばみられる。病変部位は同じ声門下であるが,前者のフィブリン性偽膜形成に対し,仮性クループは細胞浸潤を伴わない浮腫であるため,急激な呼吸困難にもかかわらず,1~2日の治療でほぼ治る。
→ジフテリア
執筆者:市村 恵一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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