クロタキカズラ(英語表記)Hosiea japonica (Makino) Makino

改訂新版 世界大百科事典 「クロタキカズラ」の意味・わかりやすい解説

クロタキカズラ
Hosiea japonica (Makino) Makino

熱帯に多いクロタキカズラ科の落葉つる性木本。葉は互生し,うすく広卵形で基部は心形となり,長さ8~18cm,縁は不規則な鋸歯がある。晩春,葉腋(ようえき)から出る散房状の花序に小さな黄緑色の花をつける。果実はすこし扁平となり,赤熟し,中に1個の種子を有する。本州(中国地方),四国,九州の山地の谷筋に生育する。ややまれな植物である。

 クロタキカズラ科Icacinaceaeは,すべて木本で,高木低木,あるいはつる性である。花には時には花盤が発達し,カエデ科ニシキギ科に類縁があるとされている。約40属200種ほどのさほど大きくはない科である。南アメリカ産のこの科のビラレシア・コンゴンハVillaresia congonha Miersはマテ茶の原料の一つであるという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロタキカズラ」の意味・わかりやすい解説

クロタキカズラ(黒滝葛)
クロタキカズラ
Hosiea japonica

クロタキカズラ科の落葉性つる植物。日本固有種で,近畿地方北部以西の本州,四国,九州中北部に点在するが稀産。暖地林下や薮の中に生え,石灰岩地を好む。雌雄異株で,枝は帯褐灰色。頂枝は長枝状で先はつるとなる。側枝は短枝状で長柄のある3~5葉を互生し,落葉後は隆起した楕円形葉柄痕を残す。葉は膜質,卵形で長さ4~18cm,幅 2.5~12cm,先は尾状に鋭くとがり基部は心形または切形,両面に短毛があり,縁に牙状の鋸歯がある。5~6月,集散花序に長さ1~2.5cm,径約 8mmの黄緑色の5弁花を2~5個下垂する。花柄は細長く,短毛がある。花部は5数性。果実は平たい楕円形で下垂し,8~9月頃赤熟する。和名は発見地の黒滝山 (高知県) にちなむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロタキカズラ」の意味・わかりやすい解説

クロタキカズラ
くろたきかずら / 黒滝葛
[学] Hosiea japonica (Makino) Makino

クロタキカズラ科(APG分類:クロタキカズラ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。葉は互生し長い柄があり、卵形で先は鋭くとがり基部は心臓形、膜質で軟毛をつけ、長さは約10センチメートル、縁(へり)に鋭い鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。花は腋生(えきせい)し円錐(えんすい)状総状花序に少数つき、長い花柄で下垂し、径約1センチメートル。萼(がく)は緑色で5裂する。花弁は5枚、肉質で平開し、先端はとがって内側に曲がる。雄しべ5本、雌しべ1本で柱頭は5裂する。果実は赤色の楕円(だえん)形で下垂する。名は最初の発見地高知県の黒滝山に由来する。近畿地方以西の本州、四国、九州の山地の林内に生える。

[古澤潔夫 2021年5月21日]

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