クロタキカズラ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロタキカズラ」の意味・わかりやすい解説

クロタキカズラ(黒滝葛)
クロタキカズラ
Hosiea japonica

クロタキカズラ科の落葉性つる植物。日本固有種で,近畿地方北部以西の本州,四国,九州中北部に点在するが稀産。暖地林下や薮の中に生え,石灰岩地を好む。雌雄異株で,枝は帯褐灰色。頂枝は長枝状で先はつるとなる。側枝は短枝状で長柄のある3~5葉を互生し,落葉後は隆起した楕円形葉柄痕を残す。葉は膜質,卵形で長さ4~18cm,幅 2.5~12cm,先は尾状に鋭くとがり基部は心形または切形,両面に短毛があり,縁に牙状の鋸歯がある。5~6月,集散花序に長さ1~2.5cm,径約 8mmの黄緑色の5弁花を2~5個下垂する。花柄は細長く,短毛がある。花部は5数性。果実は平たい楕円形で下垂し,8~9月頃赤熟する。和名は発見地の黒滝山 (高知県) にちなむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロタキカズラ」の意味・わかりやすい解説

クロタキカズラ
くろたきかずら / 黒滝葛
[学] Hosiea japonica (Makino) Makino

クロタキカズラ科(APG分類:クロタキカズラ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。葉は互生し長い柄があり、卵形で先は鋭くとがり基部は心臓形、膜質で軟毛をつけ、長さは約10センチメートル、縁(へり)に鋭い鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。花は腋生(えきせい)し円錐(えんすい)状総状花序に少数つき、長い花柄で下垂し、径約1センチメートル。萼(がく)は緑色で5裂する。花弁は5枚、肉質で平開し、先端はとがって内側に曲がる。雄しべ5本、雌しべ1本で柱頭は5裂する。果実は赤色の楕円(だえん)形で下垂する。名は最初の発見地高知県の黒滝山に由来する。近畿地方以西の本州、四国、九州の山地の林内に生える。

[古澤潔夫 2021年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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