クロトキ(英語表記)Threskiornis melanocephalus; black-headed ibis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロトキ」の意味・わかりやすい解説

クロトキ
Threskiornis melanocephalus; black-headed ibis

ペリカン目トキ科。全長 68cm。脚と黒色。十数cmある嘴はやや下方に湾曲している。頭部から上胸部は幼鳥のときには黒っぽい羽毛があるが,成長するにつれて抜け落ち,黒い皮膚が裸出する。体のほかの部分の羽毛は白く,前頸部,三列風切,肩羽の羽毛は長く伸びて飾り羽状になっている。中国東部,インドシナ半島インドスリランカなど広範囲に繁殖分布し,北方で繁殖するものは東南アジアに渡って越冬する(→渡り鳥)。近年,日本には数羽から十数羽がほぼ毎年渡来し,開けた湿地干潟水田の刈り跡,農耕地などで生活し,越冬している。古い書画に描かれていることから,かつて本州でも繁殖していたのではないかと考えられている。古代エジプトで神聖視されたクロトキは本種と同一種とされることもあるアフリカクロトキ T. aethiopicus で,エジプトでは絶滅したが,アフリカ西アジアに分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロトキ」の意味・わかりやすい解説

クロトキ
くろとき / 黒朱鷺
white ibis
[学] Threskiornis melanocephalus

鳥綱コウノトリ目トキ科の鳥。全長約85センチメートル。全身白色であるが、頭頸(とうけい)部に黒色の皮膚が裸出しているのが和名由来である。インド、東南アジア、中国東部、マレー諸島に分布する。日本にも以前はかなり普通に生息し、繁殖したこともあるようであるが、現在では迷鳥としてたまに観察されるにすぎない。沼沢地や川岸に生息し、おもに小魚や水生の小動物を食べている。繁殖期には群れ集まって、水辺の高い木の上に営巣する。近縁種がアフリカおよびオーストラリア地方に分布する。

[森岡弘之]

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世界大百科事典(旧版)内のクロトキの言及

【トキ(朱鷺)】より

…巣は水辺の木の上に小枝を集めてつくられ,集団営巣するものが多い。日本には,トキが分布するほかに,クロトキThreskiornis melanocephalusが迷鳥として渡来する。クロトキも往時にはもっと多くて,江戸の市外で繁殖したこともあるといわれている。…

※「クロトキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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