改訂新版 世界大百科事典 「グアリーニ」の意味・わかりやすい解説
グアリーニ
Guarino Guarini
生没年:1624-83
後期バロック時代のイタリアの建築家,哲学者,数学者。若くしてテアティーノ会修道士となり,モデナ,メッシナ,パリ,リスボンの各地で哲学,神学を教えたのち,1666年トリノに移り,建築家として活躍した。バロック建築の理念を独自の神秘的神学思想と合体させ,複雑精緻な幾何学的構成,幻想的な光の効果,および難解な寓意に富む意匠にその建築空間の特徴がある。代表作は,サン・ロレンツォ教会(トリノ,1687),トリノ大聖堂内の聖骸布礼拝堂,および湾曲したファサードと楕円形広間をもつ独創的な邸宅パラッツォ・カリニャノ(トリノ,1681)である。天動説を擁護した神学書をはじめとする多くの著作のなかで,建築を厳正な幾何学と官能的表現の複合として考える立場から図法と作例を論じた大著《世俗建築論》は,建築家B.ビットーネによって彼の死後(1737)公刊され,後世,とくに南ドイツの建築家に大きな影響を与えた。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報