グアンタナモ(読み)ぐあんたなも(英語表記)Guantánamo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアンタナモ」の意味・わかりやすい解説

グアンタナモ
ぐあんたなも
Guantánamo

西インド諸島、キューバ南東部の都市。グアンタナモ州の州都グアンタナモ湾の北17キロメートル、シエラ・マエストラ山脈に囲まれた盆地に位置する。人口24万8171(1999)、21万5545(2019推計)。20世紀初めアメリカ資本の流入によりキューバ東部にサトウキビ栽培が拡大して以来、粗糖、コーヒー、カカオトウモロコシなどの農産物集散地として発達した。グアンタナモ湾にはアメリカ海軍基地があり、キューバ革命後、キューバ政府は租借料の受取を拒否し返還を要求している。

[栗原尚子]

 2015年、アメリカ大統領オバマ(当時)は半世紀に及ぶキューバとの敵対関係を終わらせ、国交を回復したが、アメリカが永久租借権を主張してきたグアンタナモ基地は、キューバがアメリカに一貫して返還を求めてきた経緯があり、国交正常化交渉の最大の問題になった。

 なお、同基地にはテロ容疑者専用収容所があり、一時750人余りのイスラム過激派のテロ容疑者が無期限に収容されていた。そして、容疑者に対して繰り返し行われた拷問は、ジュネーブ条約に反すると判断され、国連が収容所の閉鎖を勧告していた。オバマは2009年に収容所閉鎖と拷問の禁止などを定めた大統領令に署名し、アメリカ政府は2016年2月に閉鎖計画を発表した。アメリカ政府の発表によれば、2016年2月時点で91人、2021年7月時点で39人のテロ容疑者が収容されている。

[編集部 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グアンタナモ」の意味・わかりやすい解説

グアンタナモ
Guantánamo

キューバ南東部の都市。サンチアゴデクーバの東約 70km,グアンタナモ湾の湾奥から約 20km北にある。 1819年スペイン人によって建設されたが,その後ハイチからのフランス人亡命者が来住したため,その影響が建物などに残っている。周辺の農業地帯の中心地で,サトウキビ,コーヒーなどの集散が行われ,コーヒー焙煎,製糖,チョコレート製造,酒製造,製塩などの工業がある。サンチアゴデクーバと鉄道,道路で結ばれ,またグアンタナモ湾のカイマネラ港まで鉄道が通じるが,まわりが山がちで,陸上交通が不便なため,航空路も発達。人口 19万 7868 (1989推計) 。

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