グリマルディ人(読み)ぐりまるでぃじん(英語表記)Grimaldi man

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリマルディ人」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ人
ぐりまるでぃじん
Grimaldi man

新人段階の化石人類。フランス国境に近い、地中海に面したイタリア領内のグリマルディ遺跡から1901年に出土。同遺跡の四つの洞穴から多数のクロマニョン人骨が後期旧石器を伴って発見されていたが、そのなかの一つグロッテ・デザンファン(小児洞)とよばれる洞穴から、クロマニョン人骨とは形態の異なる2個体の人骨が出土した。これらは青年男子と成人女子のもので、ともに突顎(とつがく)が強く、鼻や顔面が幅広く、著しい長頭であることから、今日の黒人に似ているとされ、ネグロイド型、もしくはグリマルディ人種とよばれた。当時、このような人類がヨーロッパ大陸にクロマニョン人と共存したことに関心が抱かれたが、今日では、頭骨破片を組み立てる際の失敗による誤認と考えられている。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリマルディ人」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ人
グリマルディじん
Grimaldi man

イタリアのグリマルディ洞窟から発見されたクロマニヨン型の後期更新世人骨群のなかで,特に 1901年に発見された老女少年の骨をいう。背はやや低く 160cm足らずであるが,鼻が広く,顎が突出しており,四肢,特に下腿前腕が長いなど,ニグロイドに似た特徴をもつ。クロマニヨン人と同時代のオーリニャック文化をもち,現生人類と同じ新人類の初期のものと考えられる。

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