グリマルディ人(読み)グリマルディじん(その他表記)Grimaldi man

精選版 日本国語大辞典 「グリマルディ人」の意味・読み・例文・類語

グリマルディ‐じん【グリマルディ人】

  1. 〘 名詞 〙 ( グリマルディはGrimaldi ) 旧石器時代クロマニョン人に先だって、地中海沿岸のモナコにあるグリマルディ洞窟に住んでいた化石現世人類洞窟上層人骨はすべてクロマニョン型であるが、下層から発見された人骨は黒人に類する型を示して特異であるので、グリマルディ人と命名された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリマルディ人」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ人
ぐりまるでぃじん
Grimaldi man

新人段階の化石人類。フランス国境に近い、地中海に面したイタリア領内のグリマルディ遺跡から1901年に出土。同遺跡の四つの洞穴から多数のクロマニョン人骨が後期旧石器を伴って発見されていたが、そのなかの一つグロッテ・デザンファン(小児洞)とよばれる洞穴から、クロマニョン人骨とは形態の異なる2個体の人骨が出土した。これらは青年男子と成人女子のもので、ともに突顎(とつがく)が強く、鼻や顔面が幅広く、著しい長頭であることから、今日の黒人に似ているとされ、ネグロイド型、もしくはグリマルディ人種とよばれた。当時、このような人類がヨーロッパ大陸にクロマニョン人と共存したことに関心が抱かれたが、今日では、頭骨破片を組み立てる際の失敗による誤認と考えられている。

[香原志勢]

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百科事典マイペディア 「グリマルディ人」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ人【グリマルディじん】

フランス国境に近いイタリアのグリマルディGrimaldi洞窟内で発見された第四紀上部洪積世,後期旧石器時代の化石現世人類。1872年初出土以降十数体を越える人骨が発見されている。うち一部クロマニョン人に似ているが,他は黒色人種的特徴をもつといわれる。→新人

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「グリマルディ人」の解説

グリマルディ人(グリマルディじん)
Grimaldi

フランス国境沿い,イタリア領地中海沿岸の洞窟遺跡群で19世紀末から20世紀初頭にかけて発見された人骨群。その一部は当初,ヨーロッパ起源の人種形成論の一環として,黒人の特徴を備えた古い人骨資料とみなされた。今では,これらはグラヴェッタ文化期のもので,2万8000年前より新しく,オーリニャック文化期のクロマニョン人よりも後の時代のヨーロッパ人集団の一つとみなされている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリマルディ人」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ人
グリマルディじん
Grimaldi man

イタリアのグリマルディ洞窟から発見されたクロマニヨン型の後期更新世人骨群のなかで,特に 1901年に発見された老女と少年の骨をいう。背はやや低く 160cm足らずであるが,鼻が広く,顎が突出しており,四肢,特に下腿や前腕が長いなど,ニグロイドに似た特徴をもつ。クロマニヨン人と同時代のオーリニャック文化をもち,現生人類と同じ新人類の初期のものと考えられる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「グリマルディ人」の解説

グリマルディ人
グリマルディじん
Grimaldi

イタリアのグリマルディで発見された新人
クロマニョン人とほぼ同時期とされ,骨格が黒人に似ているという説もある。

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