グリマルディ(読み)ぐりまるでぃ(英語表記)Francesco Maria Grimaldi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリマルディ」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ
ぐりまるでぃ
Francesco Maria Grimaldi
(1618―1663)

イタリアのイエズス会修道士で、数学者、物理学者ボローニャに生まれ、同地の宗教学校で教鞭(きょうべん)をとり、修辞学、のちに幾何学哲学を講じた。光学の研究、とくに干渉回折の現象の発見者として知られ、その著書『光・色・虹の数理物理学(ひかりいろにじのすうりぶつりがく)』Physicomathesis de lumine, coloribus et idide(1665)で光の干渉、回折、分光に関する実験と研究を述べ、光の波動説先駆的研究を行っている。また1651年リッチオリG. B. Riccioli(1598―1671)とともに月面地図をつくり、そのときつけられた名称は今日まで受け継がれている。

[辻内順平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリマルディ」の意味・わかりやすい解説

グリマルディ
Grimaldi, Francesco Maria

[生]1618.4.2. ボローニャ
[没]1663.12.28. ボローニャ
イタリアの物理学者,天文学者,数学者。ボローニャの宗教学校で数学を講じるかたわら,天文学,物理学の研究に従事望遠鏡を用いた月面の精密観測,ボローニャの子午線決定のための観測 (1655完了) などが知られているが,晩年は主著『光,色,虹に関する物理・数学的論考』 Physico-mathesis de lumine,coloribus et iride (65。死後出版) 完成のために光学研究に励んだ。彼の光学理論は光が実体か偶有性かという伝統的な問題をめぐって展開されており,彼は後者の立場に立って,光はある種の流体が示す性質であるとした。有名な回折縞の発見も,その流体の運動様式を説明する証拠として提出されており,光の周期性には気づいていない。したがって彼の光学理論を光の波動説の先駆とみなすことはできない。

グリマルディ
Grimaldi, Giovanni Francesco

[生]1606. ボローニャ
[没]1680. ローマ
イタリアの風景画家,彫刻家。 A.カラッチの影響を受け,ローマのビラ・ドリア・パンフィリ宮のフレスコの風景画や神話画などを制作。 1649年フランスの宰相マザランに迎えられてパリにおもむき,ルーブル宮の装飾に従事。その後ローマに帰り,サンタ・マリア・デラ・ビットリアやボルゲーゼ宮などの聖堂や宮殿に多くの絵を残した。

グリマルディ
Grimaldi, Joseph

[生]1779
[没]1837
イギリスのパントマイムの名優。「道化役の王様」と称された。ハーレクィン芝居の道化を,田舎者からはなやかなピエロに変貌させた。

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