ザルツマン(読み)ざるつまん(英語表記)Christian Gotthilf Salzmann

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ザルツマン」の意味・わかりやすい解説

ザルツマン
ざるつまん
Christian Gotthilf Salzmann
(1744―1811)

ドイツの汎愛(はんあい)派教育者。牧師であったがバゼドウに招かれてデッサウの汎愛学院で宗教を教え(1781~1783)、ゴータ侯の援助でシュネッペンタールに学校を開設(1784)。ザルツマン学校とよばれ、教育目標に「思考、忍耐、行動」を置き、作業と体育を重視した全人陶冶(とうや)を目ざし、教育方法の心理化と共同生活の訓練による道徳涵養(かんよう)を強調。家庭的雰囲気を重んじ個性伸長の少人数教育を実践しながら『カニの小本』(1780)、『アリの小本』(1806)を著す。ルソーの影響を受けて自然主義の立場を推進し、進歩的思想を発展させたが、一方、封建勢力と結び付いてその代弁者となり(1801)、反ヒューマニズム的と非難もされた。

[増渕幸男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザルツマン」の意味・わかりやすい解説

ザルツマン
Salzmann, Christian Gotthilf

[生]1744.6.1. ゾメルダ
[没]1811.10.31. シュネップフェンタル
ドイツのプロテスタント神学者,牧師,教育家。デッサウのフィランとロピヌム学園の教師。のち邸内にキリスト教信仰に基づく理想の学校を創設。知育とともに徳育および公共のための勤労を重んじた。主著『カニの小本』 Krebsbüchlein (1792) ,『アリの小本』 Ameisenbüchlein (1806) 。

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