翻訳|cuesta
浸食に対して抵抗性の相対的に大きな硬岩層と小さな軟岩層が互層をなして,緩やかに傾斜(約20度以下)している構造をもつ地域が,浸食を受けて生じた差別浸食地形の一種。岩層の浸食に対する抵抗性と傾斜の差異を反映して,硬岩層(たとえばレキ岩,砂岩,溶岩,凝灰角レキ岩など)は尾根または尾根列として突出し,軟岩層(たとえばシルト岩,泥岩,ケツ岩,凝灰岩など)は谷または相対的な低地列となる。その尾根(列)の横断面形は,一方が硬岩に保護されて急崖をなし他方は緩傾斜面をなす非対称形を呈している。その緩傾斜面は岩層の傾斜方向に傾斜しており,地表傾斜の方が岩層傾斜より小さくなっている。浸食に対する抵抗性は,一般に岩層の力学的強度,あるいは透水性が大きいものほど大きいが,差別浸食は各岩層の風化様式,速さならびにその場所に加わる浸食営力の種類・強弱にも制約される。したがって,ケスタの形成過程はこれら諸要因の組合せによって多様である。たとえば宮崎県青島の波食棚上の〈鬼の洗濯板〉は砂岩層と泥岩層の力学的強度と風化速度の差異を反映した微小なケスタだが,三浦半島南部の波食棚上では力学的強度の相対的に小さな凝灰岩層が尾根,力学的強度は大きいが乾湿風化の著しい沼岩層が谷となる。房総半島の中西部では力学的強度と透水性を反映したケスタが発達する。外国ではパリ盆地やロンドン盆地周辺の丘陵列はケスタの例である。世界的には降水量が少なく風化速度と浸食速度の小さな乾燥,半乾燥,寒冷地域にケスタの発達が著しい。
→組織地形
執筆者:鈴木 隆介
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陸上の侵食作用に対して抵抗性が強い硬岩層と、抵抗性が弱い軟岩層とが交互に重なった層(互層)が、侵食されてできた非対称横断面形の起伏をいう。ケスタは、スペイン語で長い斜面を表し、地形学の用語として用いられるようになった。緩やかに傾くケスタの背面は、侵食に対して抵抗性が強い石灰岩や砂岩、チョークなどからなり、その前面の下部には泥岩や未固結の砂層などが露出している場合が多い。ケスタの尾根部と谷部の間隔は、硬岩層と軟岩層の重なり方、つまり地質構造によって制約される。典型的なケスタ地形は、パリ盆地からライン川中流部付近に至る間に発達し、交通路や農業などに深い関連がある。
[有井琢磨]
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… 半島の東半部は,東のペルシア湾に向けて緩やかに傾斜する標高1500~2000mの高原をなし,水平に堆積した古生代以降の地層が,東に向かうほど新しい時期に堆積した地層に置きかわりながら,順次現れる。なお,地層のかわり目には,浸食の程度の差によって生じるケスタとよばれる地形が数列にわたってみられ,急な崖を西に向けている。 なお,アラビア半島の南東端のオマーン湾に臨む地方はゴンドワナ大陸に由来する陸塊とは異質であり,アルプス・ヒマラヤ造山帯に属する褶曲山脈,アフダル山地(最高峰3018m)が横たわっている。…
※「ケスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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