コショウソウ(英語表記)cress
garden cress
Lepidium sativum L.

改訂新版 世界大百科事典 「コショウソウ」の意味・わかりやすい解説

コショウソウ (胡椒草)
cress
garden cress
Lepidium sativum L.

アブラナ科一年草イランからヨーロッパ南部が原産で,ここからインド,シリアエジプトエチオピアに広がった。日本への最初の渡来は明らかでないが,明和初期ともいわれている。生長は早く,高さは30~60cmになる。下葉は葉柄があって,羽状複葉であるが,上葉は葉柄がなく,上にいくほど線形の単純なものとなる。花は白色,種子は淡赤褐色で,いずれも小さい。品種は分化していない。気候,土質などをとくに選ばないので栽培は容易であり,周年栽培できる。繁殖は種子による。冬季の低温にあうと,春にとう立ちし,開花する。一般には3月に播種(はしゆ)したものから翌年の7月に採種する。日本,アメリカ,イギリスなどではあまり栽培されていない。茎葉は特有の香気辛みがありサラダに適する。種子は香辛料として用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コショウソウ」の意味・わかりやすい解説

コショウソウ
こしょうそう / 胡椒草
[学] Lepidium sativum L.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の一年草。英名ガーデンクレスgarden cressともいう。イラン原産で、茎は高さ30~60センチメートルで分枝する。葉は不規則に切れ込み、粉白色を帯びる。初夏に小さな白色十字花を総状花序につける。果実広卵形、種子は赤褐色で径2ミリメートル×1ミリメートルほど。葉とくに若苗をサラダに、種子を香辛料として利用する。低温多湿の土地でよく育ち、春から秋まで随時播種(はしゅ)して、2~3週間で刈り取る。採種用は3月に播(ま)き、6月に開花、7月に収穫する。子葉が3深裂するのが特徴である。品種として、葉の縮れたものと、平たく幅広いものとがある。日本では近年、ランドクレスland cressと称して家庭菜園用に普及し始め、室内水耕栽培用にも種子が市販されている。

[星川清親 2020年11月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コショウソウ」の意味・わかりやすい解説

コショウソウ(胡椒草)
コショウソウ
Lepidium sativum; garden cress; pepper grass

アブラナ科の一年草。高さ 40cmくらいになり,茎は基部で分枝する。葉は長さ3~4cm。花は小さい4弁の白花で4~5月頃に咲く。オランダガラシのような辛い味があり,欧米ではサラダ用の野菜として栽培し,また種子から食用油をとったこともある。帰化植物マメグンバイナズナと同属で日本にも明治期に野菜として渡来した。根に辛みのある物質を含んでいるので,これを乾燥粉末とし「乾燥わさび粉」と称するワサビの代用品などとする。

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