コビレゴンドウ(その他表記)Globicephala macrorhynchus; short-finned pilot whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コビレゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

コビレゴンドウ
Globicephala macrorhynchus; short-finned pilot whale

クジラハクジラ亜目マイルカ科ゴンドウクジラ属。体長は雄約 6.1m,雌約 5.5mに達する。雄は体重約 3.6tになる。出生体長は 1.4m程度。体色は全身黒褐色あるいは黒色で,胸鰭 (むなびれ) つけ根に白色あるいは灰色の錨 (いかり) 型の模様がある。北方海域に生息する系統群には眼上方から噴気孔前方にかけてと背鰭の後方に鞍 (くら) 状の白灰色の斑があり,全体的に南半球に生息するものより淡色である。噴気孔は1個で,頭部正中線上にある。頭部は球状で前頭部が大きく張出し,嘴 (くちばし) はないが,口唇をもつ。背鰭から尾柄部にかけて体幅がしだいに細くなり,尾柄部は上下のキール (稜状の隆起) が著しい。背鰭は体の中央よりやや前方に位置し,幅がきわめて大きく,前縁が目立って後方へ伸び,先端は鈍く垂れ,後縁は湾曲している。胸鰭は非常に長く,体長の 16~22%に達し,中央付近で急に後方へ曲り,先端はとがる。上下顎骨に左右7~9対の比較的大きな円錐歯がある。バンドウイルカハナゴンドウ等としばしば混群をなす。イカ類を主食とするが,魚類も捕食する。全海洋の温帯ならびに熱帯海域の深海外洋域に広く分布し,北緯 50゜より南緯 40゜までに出現する。日本小型捕鯨と追込漁により捕獲されるほか,カリブ海諸国で先住民捕鯨が行われている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コビレゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

コビレゴンドウ
こびれごんどう / 小鰭巨頭
short-finned pilot whale
[学] Globicephala macrorhynchus

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科のハクジラ。世界の温帯、熱帯に分布。この和名前記学名に対して近年創作された。マゴンドウ、ナイサゴンドウ、シオゴトウタッパナガなどの従来の名称と同一種をさすが、産地によって形態に差があり、日本でも三陸以南の小形タイプ(体長5.2メートル以下でマゴンドウとよばれる)と三陸の大形タイプ(体長6.5メートル以上でタッパナガとよばれる)が知られている。

[粕谷俊雄]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「コビレゴンドウ」の解説

コビレゴンドウ
学名:Globicephala macrorhynchus

種名 / コビレゴンドウ
科名 / マイルカ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / オスは、体の前方にある背びれが大きくなります。
体長 / 3.6~6.5m、最大7.2m
体重 / 0.6~3.2t、最大4t、オスのほうが大きい
食物 / イカ、魚
分布 / 温帯から熱帯の外洋

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百科事典マイペディア 「コビレゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

コビレゴンドウ

ゴンドウクジラ

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世界大百科事典(旧版)内のコビレゴンドウの言及

【ゴンドウクジラ(巨頭鯨)】より

…現生は2種。日本で昔からマゴンドウあるいはナイサゴトウ,シオゴトウ,タッパナガなどと呼ばれた種類はすべてコビレゴンドウG.macrorhynchus(英名short‐finned pilot whale)(イラスト)である。頭部が大きく太鼓のようなので,この名がある。…

※「コビレゴンドウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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