アフリカ中部,赤道にまたがる構造性の大盆地。北はチャド盆地と白ナイル盆地,東はアフリカ大地溝帯西縁の高地,南はザンベジ盆地にそれぞれ接し,西側も大西洋斜面との間に標高1000m級の高地が走る。東西約1600km,南北約2200kmの楕円形の盆地で,面積約350万km2。周辺には先カンブリア界の結晶質岩石が分布し,内側に向かって上部古生代から下部中生代にわたるカルー系,上部中生代のルビラッシュ系(浅い内海性の砂岩層)が並ぶ。盆地底にはより新しい新生界が堆積しており,造盆地運動の長い歴史が示されている。現在この盆地はコンゴ川水系によって排水されているが,構造上の最低所は赤道上の東経18°付近,本流にウバンギ川が合流するあたりである。大西洋側に排水されるようになったのは第四紀に入ってからで,西縁高地を切る部分にリビングストン滝をはじめとする急流峡谷部が形成された。
アフリカでは最も降水に恵まれた部分にあり,地質構造を反映して傾斜変換部も散在するため,世界でも一級の大包蔵水力が見込まれる。現在の盆地の大半はコンゴ民主共和国に占められ,バントゥー語系民族の生活舞台となっているが,先住のピグミーもわずかではあるが残存している。農業生産性は高く,鉱産資源の多彩さと豊富さなど,大きな期待をもたせるが,人畜に危険なツェツェバエの分布域が広く,各種の風土病もあるのが悩みである。
執筆者:戸谷 洋
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アフリカ中西部の赤道直下にある大盆地。ザイールZaïre盆地ともいう。南北約1600キロメートル、東西約1300キロメートル、面積は日本の9倍以上の約369万平方キロメートルに達する。このうち盆地の低地部の面積は約50万平方キロメートルである。北部はカメルーン、中央アフリカ両国から続く標高1000メートル以下の高原、東部はアフリカ大地溝帯西部の傾動山塊であるルウェンゾリ山(5109メートル)とそれに続く火山を含む山地列、南部はアンゴラ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)南東部の1000メートルを超える山地、西部はガボンからアンゴラにかけて大西洋岸と並走するギニア高地に接している。盆地の最低地は標高約300メートルで、その位置は盆地の中央部からずっと西へ寄っている。
盆地周辺の地質は、先カンブリア紀の変成岩を主体とする基盤岩類からなり、この上に古生代の氷河堆積物(たいせきぶつ)を含む堆積岩(クンデルング層)、中生代の砂岩を中心とする堆積岩(ルビラッシュ層)、第三紀層が盆地を埋めるように分布する。新生代の第三紀まではまったくの内陸排水盆地だったと考えられ、第四紀に入って初めて大西洋側へ排水できるようになったとみられる。盆地底を埋める古期沖積層(ブシーラ層)を切って、現在の流路に沿って新期の沖積層が堆積している。
[堀 信行]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…【浜田 隆士】
[生物相]
アフリカには多様な植生帯が見られ,それらはきわめて多彩な動物相を温存している。その植生を理解するためには,赤道直下のコンゴ盆地に中心を置いた同心円的構造を考えるのがよい。この中心に近いほど湿潤で,中心から隔たるにつれて乾燥の度を増す。…
※「コンゴ盆地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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