日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンテ」の意味・わかりやすい解説
コンテ
こんて
conté フランス語
素描用画材の一種。コンテ・クレヨンconté crayonの略で、フランスのコンテ社製の棒状画材に由来する。白、黒、セピア(褐色)、サンギーヌ(赤褐色)の4種の色がある。18世紀末、発明家のニコラ・ジャック・コンテNicolas-Jacques Contéが、粉末化した石墨に粘土を加えて焼き固めた鉛筆を発明したが、彼はコンテ社をつくって、白亜、ヘマタイト、木炭などの顔料(がんりょう)を基材とした多くの画材、筆記用具を製造販売した。これらは種類が多様で、つなぎ剤も粘土のほかワックスなどの油脂も用いられた。そのほか焼かずに圧(お)し固めたものもあり、固さ、粘度などを自由に調整できるのが利点である。
17、18世紀に素描用画材として愛用されたサンギーヌsanguine(あるいはサンギン)は、ヘマタイトとよばれる鉄酸化物と粘土の天然の混合物であるが、19世紀以降はコンテに加工されたものが一般的となった。サンギーヌの名は血を意味するギリシア語に由来し、鮮やかな赤褐色である。
[八重樫春樹]