消費者契約法(読み)ショウヒシャケイヤクホウ

デジタル大辞泉 「消費者契約法」の意味・読み・例文・類語

しょうひしゃけいやく‐ほう〔セウヒシヤケイヤクハフ〕【消費者契約法】

不当な契約から消費者を守るための法律。消費者と事業者との契約について、不適正な勧誘・販売方法や消費者の利益を不当に損なう契約事項があれば、消費者は契約を取り消すことができる。平成12年(2000)5月公布、平成13年(2001)4月施行。
[補説]平成18年(2006)の改正消費者団体訴訟制度が導入され、広範囲の被害に対しては、一定認定を受けた消費者団体適格消費者団体)が代表して事業者に差し止め請求などを行使できるようになった。

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共同通信ニュース用語解説 「消費者契約法」の解説

消費者契約法

消費者と事業者が契約を結ぶ場合の情報の質や量、交渉力の格差を考慮し、消費者の利益を守るため2001年4月に施行された。事業者の一定の行為によって消費者が誤認したり困惑したりした場合は契約を取り消すことができるとし、不当な勧誘の類型が示されている。19年6月の改正法施行で霊感商法対象となったが、消費者庁は22年9月時点で、この規定に基づき霊感商法の契約が取り消された裁判例は確認できていないとしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「消費者契約法」の意味・わかりやすい解説

消費者契約法
しょうひしゃけいやくほう

消費者と事業者とが交わすすべての契約で、虚偽説明や不適切勧誘があった場合に契約を無効にしたり、あとから取り消したりすることができるルールを定めた法律。平成12年法律第61号。2001年(平成13)施行。事業者のもつ情報の質・量や交渉力が消費者より圧倒的にまさっている状況を踏まえ、悪徳商法だけでなく、消費者に不利な商慣行などから消費者の利益を守る目的がある。大学合格時に納めた授業料の入学辞退者への返還、賃貸住宅の退去時に敷金や保証金の一部を無条件でとられる「敷引き」が契約書に記載されていなかったり、相場からみて不当に高額だったりする場合は、それを無効とするなど、消費者契約法に基づき、消費者に不利だった状況が改善された事例は少なくない。しかし悪質商法などによる被害は後を絶たず、勧誘・契約手法の巧妙化、高齢化の進展、インターネットの普及にあわせ、消費者契約法はたびたび改正されている。

 2006年の改正で、消費者にかわって、内閣総理大臣が認定した消費者団体(適格消費者団体)が事業者の不当行為を差止請求できる消費者団体訴訟制度を導入した。契約を取り消せる不当勧誘の対象を段階的に拡大し、何十着もの着物を販売するといった「過量販売契約」、「シロアリがいて家が倒壊する」といったうその説明をする「不実告知」(以上、2016年改正)、判断力が低下した高齢者に対する「つけこみ型商法」、就職できないなど根拠なく不安をあおって売りつける「不安商法」、恋愛感情につけこむ「デート商法」、かってに商品などを交換して代金を請求する「事前提供」(以上、2018年改正)、勧誘することを告げずに退去困難な場所に同行して勧誘する行為、威迫する言動を交えて相談するための連絡を妨害する行為(以上、2022年改正)などを、不当勧誘の対象に加えた。不当勧誘による契約の取消し行使期限については、消費者が誤認していたと気づいたときや勧誘による困惑状態から脱したとき(追認できるとき)から半年だったものを1年へ延長(2016年改正)し、霊感商法などについては、契約締結から10年、追認できるときから3年まで取消し可能とした(2022年改正)。このほか、事業者自らが損害賠償の責任の有無や限度を決める条項(2018年改正)、「法令に反しない限り」など免責範囲が不明確な条項(2022年改正)などを、それぞれ無効とするとともに、解約料の算定根拠などの説明を事業者の努力義務(2022年改正)とした。

 なお、消費者契約法とは別に、訪問販売や電話勧誘などの取引手法に限定し、消費者保護を目的とする法律に特定商取引法がある。特定商取引法は、一定期間内の解約を認めたクーリング・オフ制度などを定めている。

[矢野 武 2024年1月18日]

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百科事典マイペディア 「消費者契約法」の意味・わかりやすい解説

消費者契約法【しょうひしゃけいやくほう】

不当な商品・サービスの売買契約や悪質な業者から消費者を保護するため,2000年制定。重要事項についての不実告知(うそ),将来の変動が不確実な金融商品などに関する断定的判断,不利益事実の不告知,自宅に居座られるなどして契約した場合などには契約を取り消せる。また,消費者が一方的に不利になるような契約条項は無効となる。製造物責任法などとともに消費者保護の一環をなし,訪問販売等に関する法(現,特定商取引に関する法律)など個別業種についての法律の弱点が補強される。→クーリング・オフ金融商品販売法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「消費者契約法」の意味・わかりやすい解説

消費者契約法
しょうひしゃけいやくほう

平成12年法律61号。消費者と事業者との間の情報の質と量,および交渉力の圧倒的格差を考慮して,事業者の一定の行為により消費者が「誤認または困惑」した場合に消費者が契約の申し込みまたは受諾の意思表示を取り消すことができる権利を定めた。消費者保護法制の体系化の一環として制定された。消費者が取り消しできる場合とは (1) 重要な事項について事実と異なることを告げられた場合,(2) 将来の不確実な事項について断定的判断を与えられた場合,(3) 消費者にとって不利益となる事実を告げられなかった場合,(4) 消費者の住居または職場から退去しない場合および事業者がその勧誘場所から消費者を退去させない場合である。重要事項説明義務違反には損害賠償義務がある。2007年悪徳商法の被害拡大や不正行為の防止を目的として,消費者団体が消費者に代わって業者の差し止め請求訴訟を起こすことができる消費者団体訴訟制度を盛り込んだ改正が行なわれた。(→消費者基本法

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保険基礎用語集 「消費者契約法」の解説

消費者契約法

一般的に、消費者と事業者との間では情報の量や質、交渉力に格差があり、消費者契約におけるトラブルではその格差が背景にあることが少なくありません。また、そのような場合に、事業者が優位に立ちやすい状況があり、消費者契約法では、事業者が事実と違うことを言ったり、不確定な要素について断定的な判断を示したり、消費者にとって不利益となる事実を告げないなどの不適切な勧誘方法によって、消費者が困惑または誤認して締結した契約については、その契約の申し込み、またはその承諾の意思表示を取り消すことができると定めています。また、消費者の利益を不当に害することとなる条項(契約内容)については、その全部または一部を無効とすることによって、消費者の利益の保護を図っています。この法律は、消費者契約を広くその対象として、保険契約も対象に含まれます。

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知恵蔵 「消費者契約法」の解説

消費者契約法

2001年4月施行。消費者を不当な契約から守ることが目的。不当契約は、契約後5年以内ならば、だまされたと気付いた時から6カ月の間に取り消せる。勧誘者の不退去や監禁による契約も取り消しの対象。

(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2008年)

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