コーラー(読み)こーらー(英語表記)Joseph Kohler

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーラー」の意味・わかりやすい解説

コーラー
こーらー
Joseph Kohler
(1849―1919)

ドイツの法学者。1878年ウュルツブルク大学教授、1888年以降ベルリン大学教授。コーラー業績は、法史学、法哲学、比較法学民法学、特許法といった法学ばかりでなく、美学、詩など広範な領域にわたり、「なんでもコーラーaller Kohler」とあだ名された。特許法、著作権法では開拓者的地位にあり、『ドイツ特許法提要』Handbuch des deutschen Patentrecht(1900)、『著作権および出版権』Urheberrecht an Schriftwerken und Urlagsrecht(1907)を残した。民法や法哲学でも教科書を著し、法史学では『法の一般的歴史Allgemeine Rechtsgeschichte(1914)を書いた。学問方法論上コーラーは自ら新ヘーゲル派を称したが、彼にはヘーゲル哲学に本質的な弁証法がなかった。しかし、比較民族学的手法によって、比較法史学の先駆となった。また、国際法、民法、刑法などに関する5種類の法律雑誌を刊行した。

[佐藤篤士]

『小野清一郎訳『法の一般的歴史』(1953・日本評論新社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コーラー」の意味・わかりやすい解説

コーラー
Kohler, Josef

[生]1849.3.9. バーデンウュルテンベルク,オッフェンブルク
[没]1919.8.3. ベルリン郊外シャルロッテンブルク
ドイツの法学者。法学者としてほぼすべての分野一流であり,しかもその著作活動が非常に精力的であったので,「よろず屋コーラー」 alles Kohlerの異名がある。特に無体財産法学や民族比較法学などは彼によって開拓された学問分野である。思想的にはヘーゲル観念論の影響を受けている。比較法学雑誌,民法雑誌,刑法雑誌,法・経済哲学雑誌などの編集者。主著『民族法学の基礎』 Grundlagen des Völkerrechts (1918) 。

コーラー
Kohler, Kaufmann

[生]1843.5.10. バイエルンフュルト
[没]1926.1.28. ニューヨーク
ユダヤ教の指導者,神学者。ドイツで教育を受けたのち,伝統的ユダヤ教と近代社会の調和を説いたが受入れられず,アメリカ合衆国移住。ここで改革派のラビとして活躍。 1903年ヘブル・ユニオン大学の学長となり,カリキュラムを改善した。主著に『ユダヤ教百科事典』 Jewish Encyclopedia (1901~06編纂) ,『ユダヤ教神学』 Jewish Theology (18) などがある。

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