日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴーン」の意味・わかりやすい解説
ゴーン
ごーん
Carlos Ghosn
(1954― )
日産自動車と三菱自動車工業の取締役、フランスの自動車会社ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)。世界第4位(2016)の自動車グループであるルノー・日産・三菱自動車連合の舵(かじ)取り役を務めた。
ブラジル生まれのレバノン系フランス人。1978年にフランスの理系エリート養成校として知られるエコール・デ・ミヌ・ド・パリ(パリ国立高等鉱業学校)を卒業。同年フランスのタイヤ・メーカー、ミシュランに入社する。1985年ブラジル、1989年アメリカでミシュランの現地法人社長を務め、思いきった合理化で「コストカッター」の異名をとった。その手腕を買われ、1996年フランスの自動車メーカー、ルノーに入社、上級副社長としてベルギー工場閉鎖を強行するなど、同社を黒字体質に転換することに成功した。1999年(平成11)ルノーの日産自動車との資本提携を機に、日産の最高執行責任者(COO)に就任。業績不振の日産を再建させるべく、同年「日産リバイバル・プラン」を発表。主力の東京・村山工場の閉鎖や、グループ全体で2万1000人の人員削減、系列にとらわれない部品の調達改革などのリストラを進める。2000年(平成12)に日産社長兼COO、2001年に同CEOとなり、2001年3月期決算では黒字転換に成功した。2005年には日産を再生させた手腕や国際性を買われ、日産トップのまま、ルノーの9代目社長についた。2008年日産会長も兼務。2012年には日産・ルノー連合で、ロシアの自動車最大手アフトワズを共同買収すると発表した(2014年に経営権取得)。2016年には、日産が三菱自動車に出資し、三菱自動車の会長にもついた。2017年4月、日産の社長兼CEO職を西川廣人(さいかわひろと)(1953― )に譲り、会長専任となった。2018年11月、日産と三菱自動車の会長職を解かれた。
[矢野 武 2018年12月13日]
『カルロス・ゴーン著、中川治子訳『ルネッサンス――再生への挑戦』(2001・ダイヤモンド社)』▽『カルロス・ゴーン、フィリップ・リエス著、高野優訳『カルロス・ゴーン経営を語る』(2003・日本経済新聞社)』▽『板垣英憲著『カルロス・ゴーンに学ぶ改革の極意』(2001・ベストセラーズ)』▽『長谷川洋三著『カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」』(2004・講談社)』