サドカイ派(読み)さどかいは(英語表記)Saddukaíos ギリシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サドカイ派」の意味・わかりやすい解説

サドカイ派
さどかいは
Saddukaíos ギリシア語

ヨセフスの『ユダヤ古代誌』や『新約聖書』から知られるように、紀元前2世紀~後1世紀に存在したユダヤ教党派の一つ。サドカイの名称は、ソロモン時代(前10世紀)の祭司サドク(『旧約聖書』「列王紀」上2章35)に由来し、サドクの子孫を意味する。つまり同党派は、主として祭司で構成され、エルサレム神殿供犠を重視した。また聖書本文の字句に固執した。この点で、律法がつねに新しく解釈されなければ死文化するという自覚に基づき柔軟な聖書解釈を展開したパリサイ派と鋭く対立した。そしてサドカイ派神殿祭儀重視と字句拘泥主義とは、時代の変動のなかであえぐ民衆に対する指導力を欠き、ひいては自派の消滅を招いた。

[定形日佐雄]

『アラン・ウンターマン著、石川耕一郎・市川裕訳『ユダヤ人』(1983・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サドカイ派」の意味・わかりやすい解説

サドカイ派
サドカイは
Saddoukaioi; Sadducees

ダビデ王擁立にくみし,エルサレム神殿の祭司となったザドクに由来するとされるユダヤ教の一党派で,前2世紀中頃 (ハスモン時代) から1世紀のエルサレム滅亡まで存続。神殿を中心に祭司,商人貴族などの裕福な階級の人々で構成されていて,きわめて強い保守的傾向をもち,時の権力と妥協し,あるいは対立しつつ,その特権の維持をはかった。特にモーセ五書の解釈やさまざまな祭儀上の慣習をめぐって,パリサイ派と鋭く対立し,思想上は肉体の復活,霊魂の不滅,天使あるいは聖霊の存在などの教理をことごとく否定した (マタイ福音書 22・23,マルコ福音書 12・18ほか) 。

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