さね(読み)サネ

デジタル大辞泉 「さね」の意味・読み・例文・類語

さ‐ね[連語]

[連語]尊敬助動詞「す」の未然形終助詞「ね」。上代語敬意を込めて相手にぜひそうしてほしいという気持ちを表す。…なさいね。
難波潟なにはがた潮干に出でて玉藻刈る海人娘子あまをとめども名告ら―」〈・一七二六〉

さ‐ね[副]

[副]
奈良時代は、あとに打消しの語を伴って)少しも。決して。
「さる夜は多くあれども物思はず安く寝る夜は―なきものを」〈・三七六〇〉
本当に。必ず。
「行きてみてあすも―来むなかなかにをちかた人は心おくとも」〈・薄雲〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さね」の意味・読み・例文・類語

さ‐ね

〘副〙
① 自分の言うことに嘘偽りはないということを強めていう語。下に否定の語を伴う。本当に(…でない)。絶対に(…でない)。
※催馬楽(7C後‐8C)桜人「言をこそ 明日ともいはめ 遠方(をちかた)に 妻ざる夫(せな)は 明日も左禰(サネ)来じや」
② 自分の言うことに嘘偽りはないということを、肯定的に強めていう語。必ず。まちがいなく。
源氏(1001‐14頃)薄雲「行きて見てあすもさね来むなかなかにをちかた人は心おくとも」
[補注]早くから歌語となったものらしく、散文に用いる例はまれである。

さ‐ね

(尊敬の助動詞「す」の未然形に助詞「ね」の付いたもの) 動詞の未然形に付いて、敬意を含んで相手にそうしてほしいと希望・注文する気持を表わす。…してください。
古事記(712)下・歌謡「天飛ぶ 鳥も使ひそ (たづ)が音の 聞こえむ時は 我が名問は佐泥(サネ)

さ‐ね

(間投助詞「さ」と「ね」が重なったもの) …だよ。→間投助詞「さ」間投助詞「ね」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「醴(あまざけ)でも呑せるくらゐな事さネ」

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