サバー(その他表記)Sabhā

改訂新版 世界大百科事典 「サバー」の意味・わかりやすい解説

サバー
Sabhā

インドにおける村落集会,村落共同組織。古くはベーダにもこの語がみられるが,チョーラ朝下の寺院への寄進刻文に多くみられる村落内の自治組織として広く知られている。ウールūrと呼ばれるものがベッラーラVellālaを主体とする農民カーストによって構成される一般村落の共同組織であるのに対して,サバーはバラモンが土地を施与されて住むブラフマデーヤ村落にみられ,集会の成員もバラモンに限られる。またその機能は徴税をはじめ,灌漑,耕地刑罰戸籍,寄進に関する記録の保持,その他村落行政全般の問題にかかわった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サバー」の意味・わかりやすい解説

サバー
さばー
Fat‘Alī Khān abā
(1765―1822)

ペルシア詩人カーシャーンに生まれる。初めザンド朝に仕えるが、同朝滅亡後カジャール朝のファタ・アリー・シャー王に桂冠(けいかん)詩人として仕え、同朝宮廷詩人の基礎を築いた。イラクスタイルからホラサーン・スタイルに復帰させた代表的詩人で、とくに頌詩(しょうし)に秀でた。多作で、パトロンの王とその王子をたたえる4万句を超す叙事詩帝王の書』でも知られる。

[黒柳恒男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サバー」の意味・わかりやすい解説

サバー
Sabā, Fatḥ `Alī Khān

[生]1765. カーシャーン
[没]1822. テヘラン
イランの詩人。カージャール朝ファタ・アリー・シャーの桂冠詩人として活躍し,古典詩人のスタイルにならって頌詩をつくり,カージャール朝宮廷詩人の基礎を築いた。4万句から成る叙事詩『帝王の書』 Shāhanshāh-nāmeの作者としても知られる。

サバー
sabhā

インドの言葉で「集会」の意味。古くより大小の集会,あるいはそれが行われる場所の意味に使われてきた。法廷を意味することもある。今日のインド共和国下院はローク (衆) ・サバー (議院) と呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内のサバーの言及

【カースト】より

…(4)自治機能 各カーストには,以上の結婚,食事,職業に関する諸慣行を含む独自の慣行が掟(おきて)として存在している。そして,それらの掟に違反した仲間に対しては,長老会議(カースト・パンチャーヤット)や成員の集会(サバー)によって,罰金支払を含むさまざまな制裁が加えられた。制裁の方法として,しばしば採用されるものにカースト外への追放がある。…

※「サバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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