日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルドゥー」の意味・わかりやすい解説
サルドゥー
さるどぅー
Victorien Sardou
(1831―1908)
フランスの劇作家。初めミュッセの影響を受けたが不評で、スクリーブ流の「よく作られた脚本」に倣い『金釘(かなくぎ)流』(1860)で成功した。以後『別れよう』(1880)のような社会劇、ついで『フェドラ』(1882)、『トスカ』(1887)などのメロドラマは大女優サラ・ベルナールの当り芝居となり、晩年は『サン・ジェーヌ夫人』(1893)などの史劇に集中し、演劇のあらゆるジャンルにわたって書きまくった。内容には乏しいながら舞台をおもしろくする目的は達し、ロマン主義演劇が崩壊して、写実主義演劇が樹立されるまでをつなぐ役目を果たした。
[本庄桂輔]