サン族(読み)サンぞく(英語表記)San

翻訳|San

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サン族」の意味・わかりやすい解説

サン族
サンぞく
San

かつて東アフリカ,中央アフリカ南アフリカに広く分布していたと考えられる狩猟採集民起源は明らかでない。南からの白人入植者と北からのバンツー語系諸族によって半砂漠地帯に追いやられ今日にいたる。ブッシュマン Bushmanとも呼ばれるが蔑称。ナミビア,北部ボツワナ,アンゴラ,ザンビアに分布しており,隣住するコイ族とともにコイサンとも総称される。黄褐色の肌と皺がちの皮膚,暗色の毬状毛,脂臀などが共通の形質的特徴。今日,サン族の多くは白人の農場賃労働をし,ツワナ族などの社会と従属関係にあり,明確な文化単位として識別しがたい。しかし,アウエン,クン,グイの 3集団では,自律的なバンド組織が存続している。バンドは数家族からなり,グイで 40~60人,クンで 25~30人構成である。バンドより広い範囲の社会・政治的統合はみられない。バンドの成員は,恒常的に,あるいは少なくとも雨季にはキャンプをともにする。製鉄織物の技術をもたず,土器製作も行なわない。天上神と悪霊の二つの超自然的存在を崇拝するが,祖先儀礼は行なわない。言語は,吸着音を著しい特徴とする。(→コイサン語系諸族

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