ザゼンソウ(読み)ざぜんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ザゼンソウ」の意味・わかりやすい解説

ザゼンソウ
ざぜんそう / 坐禅草
[学] Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev
Symplocarpus foetidus Nutt. var. latissimus (Makino) Hara

サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の多年草。地下に太い根茎があり、全草に悪臭がある。葉は根生し、長柄があり、葉身は円心形で大きく、成熟時には径40センチメートルに達する。花序は楕円(だえん)の肉穂花序をなし、長さ2センチメートル、舟形の厚い仏炎包(ぶつえんほう)に包まれる。花は両性で、4枚の花被片と4本の雄しべ、1本の雌しべからなり、密集してつく。仏炎包は3~5月、葉が出る前に展開し、成熟時には長さ20センチメートル、径13センチメートルに達し、内側は呼吸熱により、外気温より著しく高温に保たれる。種子は果皮に包まれず、スポンジ状の花軸の中に埋まる。水湿地に生え、中部地方以北の本州、北海道、朝鮮半島、樺太(からふと)(サハリン)、ウスリー、アムール分布。名は、花序のようすが坐禅をしている状態を思わせるのでいう。

[邑田 仁 2022年1月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザゼンソウ」の意味・わかりやすい解説

ザゼンソウ(坐禅草)
ザゼンソウ
Symplocarpus foetidus form. latissimus; skunk cabbage

サトイモ科の多年草。東アジアの冷温帯の湿地に生え,全草肉質で悪臭がある。葉は根もとから生え,長い葉柄があり葉身は卵状ないし腎状心臓形で無毛。花は4~5月頃,1株に1つの肉穂花序をつける。花序は褐紫色の仏炎包に包まれる。包葉は紫色の斑点のあるものや緑色のものもある。個々の花は密集して小さく,花被片は4枚で4本のおしべが花の外へ出る。めしべ柱頭は小さくおしべより短い。果実は6~7月に熟し,多数の種子を散布する。花序の形態が僧侶の坐禅をしている姿に似ているのでこの和名がある。根茎は吐き気止めや利尿剤として用いられる。

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