メラミン樹脂(読み)めらみんじゅし(英語表記)melamine resin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メラミン樹脂」の意味・わかりやすい解説

メラミン樹脂
めらみんじゅし
melamine resin

アミノ樹脂アミノ基-NH2を含む化合物とアルデヒドとの縮合によって得られる樹脂の総称)の一種で、メラミンホルムアルデヒドからつくられた熱硬化性樹脂である。

垣内 弘]

製法

メラミンはアミノ基を3個、したがってホルムアルデヒドと反応する官能基を6個もっている。配合比と反応条件によって多くのメチロール基HOCH2-または(CH2OCH2)nOH-の入ったポリメチロールメラミンの混合物になる。これが初期反応物である。一般的な製造法は、メラミン1モルとホルムアルデヒド3.3モルを混合し、炭酸ナトリウムまたはアンモニアを用いて弱アルカリ性で80℃ぐらいで反応させる。水溶液がシロップ状になる。このシロップを水‐アルコールに溶解しパルプなどの充填(じゅうてん)剤に混合したのち、乾燥し粉砕して微粒にする。同時に着色材料、離型剤を加えて、加圧・加熱して成形物をつくる。

[垣内 弘]

特徴と用途

成形品の特徴は、尿素とホルムアルデヒドを原料とし、同じく熱硬化性樹脂であるユリア樹脂尿素樹脂)に比べて耐熱耐水耐酸・耐アルカリ性に優れ、また耐アーク性も優れている。主として電気器具、配線器具、食器に使われている。メラミン樹脂の代表的な製品である化粧板は、表面がメラミン樹脂層で、下側はフェノール樹脂層になっている。車両用はアルミニウム板を用いる。これらはメラミン樹脂そのもののもろさに原因するひび割れ破損をなくすためである。また木綿レーヨン、スフ織物のしわを防止し、洗濯による収縮率を小さくして羊毛に近い風合(ふうあい)を与える。これにはジまたはトリメチロールメラミンのブチルエーテルが使われる。塗料としてはメチロールメラミンのブチルエーテルが使われ、堅牢(けんろう)な皮膜を与える。またこのエーテルをシンナーに溶かしたものはワニス(メラミン樹脂ワニスmelamine resin varnish)である。塗膜の硬さは高く、淡色で光沢がよく、美術工芸品や家具などに広く用いられる。日本の年間生産量は15.9万トン(2002)である。

[垣内 弘]

『布山五雄著『尿素樹脂工業・メラミン樹脂工業』(1950・誠文堂新光社)』『安倍通夫著『プラスチック材料講座 メラミン樹脂』(1961・日刊工業新聞社)』『三輪一郎著『プラスチック材料講座 ユリア・メラミン樹脂』(1978・日刊工業新聞社)』『本山卓彦・永田宏二著『接着剤』(1988・工業調査会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メラミン樹脂」の意味・わかりやすい解説

メラミン樹脂
メラミンじゅし
melamine resin

メラミン (2,4,6-トリアミノトリアジン) とホルムアルデヒドとの縮合によって得られる熱硬化性樹脂で,尿素樹脂とともにアミノ樹脂の一種である。メラミンにホルムアルデヒドが作用すると,まずメチロールメラミンが生じ,さらに加熱すると脱水反応により不溶性の樹脂となる。耐熱性,透明性がよく,耐薬品性,電気的性質もすぐれており,成形品,化粧板などに用いられている。

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