翻訳|cineraria
キク科(APG分類:キク科)の不耐冬性一年草。シネラリアのシが死に通ずるとして嫌い、一般にはサイネリアとよばれる。和名をフキギク(蕗菊)またはフキザクラ(蕗桜)ともいう。アフリカのカナリア諸島原産。葉はフキに似た卵形の広葉で茎は直上し、その先に花柄を分枝して小ギク状の頭状花をつける。花色は紅桃、桃、藤青、紫、白色などあり、花弁の外側が有色のものや、外側が白色で蛇の目模様になるものも多い。プリムラ類と並んで3、4月の代表的な鉢花であるが、市場には最近11月下旬ころから出荷されるものがあって、開花期の幅は広がっている。また、4月以降霜のおそれがなくなると花壇やプランター用としても利用される。
系統は、花径が7~10センチメートルにもなり花つきは多くはない大輪のグランディフローラ系、花径4~6センチメートルの小輪系であるが、花は株を覆うほどたくさんつき、丈は30~40センチメートルくらいになるマルチフローラ系、両系統の中間型とみられるダルマ系の三つに大別される。ダルマ系は日本独特の中輪系で、花つきも多く、丈も20~30センチメートルと低く、株全体がこぢんまりと締まり、もっとも多くみかける系統で、蛇の目模様の花もほとんどこの系統である。
繁殖は実生(みしょう)により、8月下旬から9月中旬ころまで、できるだけ日よけをした涼しい所に播(ま)く。一度仮植え後、3号鉢にあげ、さらに株が発育した段階で5号鉢に鉢替えする。シネラリアは十分日に当てて育て、冬季は日中20℃前後、夜間は5~8℃くらいの温度下で栽培する。病害虫はうどんこ病が出やすく、アブラムシもつきやすい。
[鶴島久男 2022年2月18日]
キク科の多年草。死に通ずる語感を嫌ってサイネリアとも,またフウキギク(富貴菊)ともいう。シネラリアは古い属名による名称。カナリア諸島原産で,直立する短い茎から,心臓状卵形の葉が四方へ互生する。葉は緑色で,葉裏が紫紅色。散房花序で,冬から春にかけて,花軸の上にキクの花に似た頭花をつける。春の鉢花としてよく知られ,園芸品種が多数あり,高性,矮性(わいせい)のものや,花色も紅,桃,青,紫,白,黄といろいろで,絞り咲き,蛇の目咲きのものもある。多年草だが,夏の暑さに弱いため,ほとんどが一・二年草として栽培される。繁殖は種子により,7~10月に播種(はしゆ)するが,挿芽でもふえる。冬は3℃以上を保ち,よく日に当てるが,保温の温度が高すぎると徒長する。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…鉢物や花壇材料として扱われる。シネラリアはカナリア諸島の原産で,サイネリア,フウキギク(富貴菊)の名もある。直立する短い茎から心臓状卵形の葉が四方へ互生し,葉は表が緑色で裏が紫紅色。…
※「シネラリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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