ドイツの原生動物学者。1905年に皮膚科学者ホフマンE.Hoffmannとともに梅毒の病原体スピロヘータ・パリダSpirochaeta pallidaを発見したことでとくに知られる。東プロイセンに生まれ,ベルリン大学で動物学を学ぶ。卒業後,病原性原虫類の研究に従事,熱帯赤痢がアメーバEnta-moeba histolyticaでおこることを証明したほか,マラリアについても知見を得た。1905年3月3日,ホフマンが病巣より得た材料からスピロヘータを発見(のちTreponema pallidumと称する)し公表した。1904年ベルリンの国立衛生局原生動物部長,06年ハンブルクの船舶熱帯衛生研究所所長となるが,同年わずか34歳で死亡した。なおシャウディンを記念して,微生物学に関するすぐれた研究に対し,フリッツ・シャウディン賞が設定されている。
執筆者:長門谷 洋治
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ドイツの動物学者。ベルリン大学で動物学を学ぶ。卒業後、いろいろな大学、研究所を転々として研究し、その業績が認められて1906年にハンブルクの航海・熱帯衛生研究所の原生動物研究部門の部長になったが、同年6月若くして死亡した。赤痢アメーバと無害の大腸アメーバ、アフリカ睡眠病、マラリア病およびコクシジウム症(家畜などの下痢)の病原虫の形態、増殖、生活史に関する研究はどれも国際的な名声を博した。とくに梅毒の病原体(細菌)の発見(1905)は著名である。ほかに、自由生活のアメーバ、有孔虫、タイヨウチュウ類の分類、核、生理などについても研究した。1902年に原生生物の専門誌『原生生物学論叢(ろんそう)』Archiv für Protistenkundeを創刊した。これは現在も刊行されている。
[片島 亮]
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…79年にナイサーAlbert L.S.Neisser(1855‐1916)は淋菌を発見し,さらに89年にはデュクレーAugusto Ducrey(1860‐1932)は軟性下疳菌を発見した。つづいて1905年F.R.シャウディンとホフマンErich Hoffmann(1868‐1959)は梅毒トレポネマを検出した。おくれて鼠径リンパ肉芽腫の病原体として,36年宮川米次らにより宮川小体が発見された。…
… 性病は,近代の細菌学の発達によって,それぞれの病原菌が確定されるまでは,正確な区別がなされていなかった。梅毒が他の性病と区別されるようになったのは,1905年にF.R.シャウディンとホフマンErich Hoffmann(1868‐1959)により梅毒トレポネマが発見されて以後のことである(はじめスピロヘータ・パリダと命名,のちにトレポネマ・パリズムと改称)。1910年P.エールリヒ,秦佐八郎によって有機ヒ素剤であるサルバルサンが開発され,初めての化学療法剤として梅毒の治療に用いられたが,治療効果は不十分であり,副作用が多発した。…
※「シャウディン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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