シリカゲル(英語表記)silica gel

翻訳|silica gel

デジタル大辞泉 「シリカゲル」の意味・読み・例文・類語

シリカ‐ゲル(silica gel/〈ドイツ〉Silikagel)

珪酸けいさんが部分的に脱水してゲル化したもの。吸着力が強い無色または白色固体吸着剤乾燥剤脱水剤などに使用組成式はSiO2nH2O

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精選版 日本国語大辞典 「シリカゲル」の意味・読み・例文・類語

シリカ‐ゲル

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Silikagel ) 無定形珪酸(けいさん)。組成式 SiO2・nH2O 凝集性のゲルで、無色ないし白色の固体。天然には土壌中の珪酸として存在する。アンモニアなどのガス水蒸気・水などに対する吸着性が強く、脱水・乾燥・吸着剤などのほか、触媒の担体などとしても用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「シリカゲル」の意味・わかりやすい解説

シリカゲル
silica gel

水ガラスケイ酸ナトリウム)の水溶液に酸を加えることにより生成する含水ケイ酸ゲル(ヒドロゲル)を洗浄し,加熱脱水して得られる白色の固体で,二酸化ケイ素(シリカ)SiO2nH2Oからなる。数nmの孔が無数に開いており,このため内部表面積は500~700m2/gに達する。水H2O,二酸化イオウSO2その他の極性物質を吸着する性質が強く,このため空気の乾燥剤として用いられる。一定量の水分を吸着すると除湿能力は失われるが,外見からこの状態を判定するためにシリカゲルに塩化コバルトをしみこませて青色とし,塩化コバルトが結晶水を得てその色が桃色に変わったことにより吸着能力を失った目安にするものもある。水分の吸着容量はそこで接する空気の関係湿度に対して吸着平衡関係によって定まる一定値をとるが,とくに低湿度で吸着容量の大きいA型と高湿度で吸着量の増加するB型がある。化学的にも安定で水にも不溶で無害であり,油中の水分除去にも用いられる。種々の化学反応において600~700℃までは比較的安定であるので,貴金属その他の触媒の担体として,またシリカゲル自身が触媒として用いられることも多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シリカゲル」の意味・わかりやすい解説

シリカゲル
しりかげる
silica gel

ケイ酸のゲルのこと。成分はSiO2nH2Oである。水分子の数は条件によって変わる。天然に存在するケイ酸の多くはシリカゲルとして産する。合成品は、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)水溶液と、硫酸または塩酸との複分解によって得られるシリカゾルをゲル化させる。普通、無色の粒状物として市販され、比重は2.2~2.3。酸には強いが濃アルカリ溶液に徐々に溶ける。水蒸気、アンモニアガスなど多くの物質に対して吸着力が強い。コバルト(Ⅱ)塩をしみ込ませたものは、無水のときは青色、吸湿すると淡紅色に変化する。淡紅色となったものを加熱すると脱水されて、ふたたび青色となり、乾燥剤として広く用いられる。そのほか、脱水剤、クロマトグラフィー用吸着剤、触媒の担体などとしても用いられる。

[守永健一・中原勝儼]

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百科事典マイペディア 「シリカゲル」の意味・わかりやすい解説

シリカゲル

吸着力の強いケイ酸ゲルで,成分は二酸化ケイ素SiO2・nH2O(水分は2〜10%)。無色ないし淡黄色,透明ないし半透明の固体。比重2〜2.5。多孔性で,表面積は1gにつき500〜700m2/gに達し,脱水剤,乾燥剤,吸着剤として用いられる。普通,乾燥剤として市販されているものには塩化コバルトを含ませてあり,乾燥時には濃青色,吸湿時には桃色となる。
→関連項目乾燥剤ケイ(珪)酸

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化学辞典 第2版 「シリカゲル」の解説

シリカゲル
シリカゲル
silica gel

組成式SiO2nH2Oで表されるゲル状の固体.可溶性ケイ酸水溶液を鉱酸で分解し,ゾルを経由してゲル化させ,水洗してつくられる.四面体型SiO2が重合し,重合の切れ目にはOHが結合し,さらにそれが水和した構造をもっている.非晶質含水ケイ酸であって比表面積が大きく(数百 m2 g-1),吸着性がいちじるしいので,乾燥剤として広く用いられる.そのほか,吸着剤,触媒担体などにも用いられる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリカゲル」の意味・わかりやすい解説

シリカゲル
silica gel

水ガラスのアルカリを水和しゲル化したのち乾燥してつくるケイ酸のゲル。非常に大きな吸着力をもち,空気中の水分を吸着除去する除湿剤,あるいは低沸点炭化水素の分離採取などに広く使われている。

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栄養・生化学辞典 「シリカゲル」の解説

シリカゲル

 SiO2nH2O.非晶質のケイ酸で,乾燥剤,吸着剤などに使う.

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世界大百科事典(旧版)内のシリカゲルの言及

【乾燥剤】より

…そのほかモレキュラーシーブ(分子ふるい)は,合成アルミノケイ酸アルカリで,三次元網目構造の結晶格子の空間に一定の大きさの分子のみをとりこむ物質で,水分子のみをとり出すモレキュラーシーブは精密な実験に適していることがある。またシリカゲルは活性な化学物質と違って,取扱いが容易であり,また安全性が高く,吸湿能力が低下しても加熱脱水することによって容易に再生できるので(塩化コバルトを吸着させたものは,青色のとき吸収能力があり,なくなるとピンクになる),タバコ,茶,のり(海苔)などの食品,医薬品などの防湿用に普通に用いられている。【中原 勝儼】。…

【酸性白土】より

…ベントナイトの硫酸処理などにより製造される場合もある。酸性白土を酸処理してシリカゲル,アルミナシリカゲル,あるいは吸着能をさらに高めた(活性化した)活性白土などを製造する場合もある。【湊 秀雄】。…

【二酸化ケイ素(二酸化珪素)】より

…オパールはその一つで,密度は2.1~2.3g/cm3,融点は1600℃以上である。 実験室で可溶性のケイ酸塩水溶液に適当な酸を加えたコロイド状ケイ酸を蒸発乾固させると,しばしばシリカゲルと呼ばれる多孔質の無定形二酸化ケイ素が得られる。これを融剤とともに適当な温度,圧力で融解し,適当な熱力学的条件に保てば,条件に応じて,石英,リンケイ石,クリストバライトの任意の結晶が得られる。…

【水ガラス】より

…日本では一般に乾式法が行われているが,高純度の可溶性白土が得られる条件があれば,湿式法が有利である。水ガラスは強いアルカリ性であるが,これを酸で中和して得られた沈殿を乾燥したものがシリカゲルで,乾燥剤として多量に使用されている。また,セッケンの製造用,接着剤用,土木工事における土質改良剤などの用途もある。…

※「シリカゲル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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