家庭医学館 「シンナー中毒」の解説
しんなーちゅうどくとるえんちゅうどくきしれんちゅうどく【シンナー中毒(トルエン中毒/キシレン中毒) Thinner Poisoning】
シンナーは、塗料を薄めるのに用いる液ですが、麻酔(ますい)の作用があるので、気化したガスを吸い込むと、麻酔薬を吸入したのと同じことになります。
シンナー遊びによる中毒が有名ですが、日曜大工の塗装作業の際など、家庭でも中毒事故がおこっています。
[症状]
初め、多幸感(たこうかん)、せきこみなどの気道刺激症状がおこります。
さらに吸入量が多くなると、頭痛、めまい、吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)、耳鳴りがおこり、徐々にからだの自由がきかなくなってきます。
シンナー遊びでは、抑制がとれて羞恥心(しゅうちしん)がなくなり、こわいもの知らずになるほか、わずかな刺激で異常な反応をおこすようになります。幻聴(げんちょう)、幻視(げんし)、錯乱(さくらん)、不安、不眠、被害妄想(ひがいもうそう)などが現われ、やがて運動まひ、呼吸数の減少を経て、呼吸停止に至ります。
エタノールや酢酸(さくさん)エチルを含むシンナーの場合は、視力・視野障害がおこり、1~7日で失明(しつめい)します。急性膵炎(きゅうせいすいえん)などもおこります。
ベンゼンを含む場合は、再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)、白血病(はっけつびょう)、多発性神経炎(たはつせいしんけいえん)とその症状の知覚まひがおこります。
[治療]
一刻も早く空気の新鮮な場所へ移します。呼吸困難があれば、酸素吸入などが必要になります。