ソ連邦の作家。ペトログラード(現,サンクト・ペテルブルグ)に生まれる。ゴーリキー文学大学を卒業後,詩人として出発し,第2次大戦中に書いた戯曲《ロシアの人々》(1942)とスターリングラードの攻防戦を描いた長編《昼となく夜となく》(1944)で文名を確立した。戦後は冷たい戦争を主題とした戯曲《プラハの栗並木の下で》(1946),《ロシアの問題》(1946),ノモンハン事件を描いた長編《戦友》(1952)などを発表する一方,作家同盟書記として党の文芸政策を推進した。スターリン批判後《新世界》誌編集長として最も熱心に雪どけを支持したが,党の批判を受けるや雪どけ派攻撃に転ずる変り身の早さを示した。戯曲《第四の男》(1960),長編《生者と死者》(1959),《兵士として生まれたるにあらず》(1964)では第2次大戦初期のスターリンの誤り,そこから生ずる悲劇を赤裸々に描き,内外に異常な反響をよんだが,ここにも時流に敏感な感覚がよみとれる。
執筆者:原 卓也
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ロシアの小説家、劇作家。ペトログラード(サンクト・ペテルブルグ)生まれ。1938年ゴーリキー文学大学卒業。叙事詩『勝利者』(1937)、『バーベル・チョールヌイ』(1938)、詩集『旅の詩』(1939)などで認められ、第二次世界大戦中は従軍記者として活躍、多くの叙情詩、歌などを書き広範な人々に愛唱され、さらに戯曲『ロシアの人々』(1942)で戦う兵士たちを描き、好評を得た。その文名を高からしめたのは、スターリングラード(ボルゴグラード)攻防戦を語る長編小説『夜となく昼となく』(1944。46年ソ連国家賞受賞)である。戦後は『戦友』(1952)、『生者と死者』(1959)、『兵士として生まれるにあらず』(1964)など、第二次大戦を歴史的に描く壮大な連作長編を書いた。ほかに冷たい戦争を題材とした戯曲『プラハの栗(くり)並木の下で』(1946)など多数の作品がある。つねに今日的主題と取り組んでいる。
[草鹿外吉]
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