映画の映像合成技術の一つ。俳優やセットの後部にスクリーンを置き、そこに背景として事前に撮影された映像を映写しながら撮影をして合成場面を作る技法。列車内部や自動車の車内などの場面で、流れ動く窓外の風景などを合成する際によく用いられる。
透過式のスクリーンを用いて、スクリーンの背面から映像を映写する方式をリア・プロジェクションrear projection、反射率の高いスクリーンを用いて、カメラ側から映写する方式をフロント・プロジェクションfront projectionという。
背景用素材の事前撮影に関しては、後に撮影される前景部分の照明や設定上の移動方向の把握など、綿密な準備が必要である。たとえば、列車が画面右方向に向かって走っている設定の場合、車窓の風景は右から左へと流れなければならない。また背景を映す映写機と撮影するカメラのシャッターが同期しないと、同期ズレによる光の明滅が画面に現れて、良好な合成場面が得られない。
[江口 浩]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… このように,初期の合成は,すべて巻戻し再撮影という,リテーク(撮り直し)を許されない一発勝負だった。それが解決されたのはリア・プロジェクション(背面映写)のスクリーン・プロセスの開発で(たとえば列車の窓外風景なら,列車のセットの背面から透過式スクリーンになっている窓に風景を映写して,そのセットで人物などとの合成撮影を行う),これもドーンが1913年に製作,演出した《漂流者》の中で試みたが,すりガラスに背面映写した画質が思ったほどよくなかったため,ひとまず放棄した。しかしこの方法は30年代に,トーキー化によってスタジオ内での撮影が絶対条件となったことと,シャッターを同期させる間欠輸動装置などの進歩によって実用化し,さらにクリアーなフロント・プロジェクション(背面からではなく,前面から通常の反射式スクリーンに映写する)にひきつがれて現在に至る。…
※「スクリーンプロセス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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