日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクリーン・プロセス」の意味・わかりやすい解説
スクリーン・プロセス
すくりーんぷろせす
screen process
映画の映像合成技術の一つ。俳優やセットの後部にスクリーンを置き、そこに背景として事前に撮影された映像を映写しながら撮影をして合成場面を作る技法。列車内部や自動車の車内などの場面で、流れ動く窓外の風景などを合成する際によく用いられる。
透過式のスクリーンを用いて、スクリーンの背面から映像を映写する方式をリア・プロジェクションrear projection、反射率の高いスクリーンを用いて、カメラ側から映写する方式をフロント・プロジェクションfront projectionという。
背景用素材の事前撮影に関しては、後に撮影される前景部分の照明や設定上の移動方向の把握など、綿密な準備が必要である。たとえば、列車が画面右方向に向かって走っている設定の場合、車窓の風景は右から左へと流れなければならない。また背景を映す映写機と撮影するカメラのシャッターが同期しないと、同期ズレによる光の明滅が画面に現れて、良好な合成場面が得られない。
[江口 浩]