ストロンボリ島(読み)すとろんぼりとう(その他表記)Stromboli

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストロンボリ島」の意味・わかりやすい解説

ストロンボリ島
すとろんぼりとう
Stromboli

地中海ティレニア海にあるイタリア領リパリ諸島北東端の活火山島。海底から噴出した玄武岩、安山岩からなる成層火山で、標高926メートルであるが、海中基底からの高さは約2700メートル。島は直径4~5キロメートル、面積12.6平方キロメートル。人口は約700で、行政上はシチリア州メッシーナ県リパリ村に属する。古代名はストロンジルStrongyle島。近くにストロンボリキオStrombolichioとよばれる、火道の溶岩だけが残ってできた小島がある。

 24世紀以上も前のローマ時代から、約5000年前に山体崩壊して生じたU字型崖の上部にある複数の火口からほぼ連続的に噴火を繰り返している。数十分前後の短い間隔で周期的に小爆発し、飛跡がシャワーのように見えるのが特徴である。一般にこの型の噴火は「ストロンボリ式噴火」とよばれ、代表的な噴火様式の一つである。溶岩流出も伴うことがある。少なくとも1000年以上にわたって爆発を繰り返してきたため、古来、「地中海の灯台」とよばれ、航海者に親しまれてきた。2002年12月末には小さな山体崩壊が生じたために、ストロンボリ式噴火が一時的に中断したことがある。

諏訪 彰・中田節也]

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改訂新版 世界大百科事典 「ストロンボリ島」の意味・わかりやすい解説

ストロンボリ[島]
Stromboli

イタリア南部,ティレニア海のリパリ諸島(シチリア島北方)の北部にある火山島。島は台形で面積12.6km2,人口は約500人で大部分は島の北部に集中している。ただし,夏季にはバカンス客でいっぱいになる。この島は海底から約2000mもそびえる火山の頂部が924mだけ海面上に出たものである。標高約750mに四つの小火口が並んでいて,火口からの噴出物は北西に面する〈火の斜面〉を海へなだれ落ちる。その噴火は紀元前から知られており,〈地中海の灯台〉といわれている。ストロンボリ式噴火とは,マグマ中のガスが周期的に火口からぬけ出る際,赤熱岩塊,溶岩片,火山弾などを火口から数分~数十分の間隔で放出する様式であり,流動性の高い玄武岩質のマグマの活動にともなう。一般にこの様式の噴火はそれほど激しいものではない。しかし,ストロンボリ火山でも,地下マグマの状況が変化すればこの様式からはずれることもある。たとえば1930年には爆発的な噴火が起こり,30tの岩塊が3kmも飛んだことがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストロンボリ島」の意味・わかりやすい解説

ストロンボリ島
ストロンボリとう
Isola Stromboli

イタリア南西部,シチリア島北東方,チレニア海に浮ぶエオリエ諸島北端の島。シチリア州メッシナ県に属する。ストロンボリ火山 (924m) の活動で形成された島で,最近では 1957年に噴火したが,現在も溶岩が海に向って流出している。オリーブ,ワインを産する。火山,海岸,温暖な気候のため観光客が多い。面積 12.2km2。人口約 350。

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