ストール(読み)すとーる(英語表記)stole

翻訳|stole

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストール」の意味・わかりやすい解説

ストール
すとーる
stole

丈長のゆったりした外衣であるローブを意味するギリシア語stolē、ラテン語stolaに由来する語。古代ローマの既婚婦人が着用した丈の長い寛衣のほかに、中世以来、牧師司祭が両肩に掛けて用いたり、助祭執事儀式の際に左肩に掛けた、主として絹や麻製の帯状の布に精巧な刺しゅうを施したものをいう。また、毛皮や布などでつくった長くて幅の広い、あるいは肩の形にあわせてつくられた肩掛けのこと。装飾用、防寒用、あるいはその両方を兼ねて着用される。イブニング・ドレスなどに用いるものは毛皮、シフォン・ベルベット、レースなど。防寒用には毛皮、毛糸毛織物などのものが多い。日本では「ショール」と混用されている。

[田村芳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストール」の意味・わかりやすい解説

ストール
stole

服飾用語。古代ローマの,おもに女性用チュニック型ワンピースの意のラテン語ストラが変形した語。時代順に次の3様の意が加わり,現在に及んでいる。 (1) 古代ローマ時代のストラを模した,床丈の衣服。またはゆったりした外衣。 (2) ビザンチン時代以降,聖職者が儀式の際に法衣の一部として着用した帯状の装飾的肩掛け。おもに絹,麻製。全面に精巧な刺繍がある。本来衣服の意であったものが,肩掛けの意に転じた原因については,定説がない。 (3) 女性用の装飾,防寒用のスカーフおよび肩掛け風の外套。この意味に使われたのは 16世紀で,今日では最も一般的な語意となっている。当初は毛皮製であったが次第に範囲が広がり,現代では毛織物,人造毛皮,ネット,絹,レース,毛糸など,さまざまである。

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