スプライシング(その他表記)splicing

デジタル大辞泉 「スプライシング」の意味・読み・例文・類語

スプライシング(splicing)

DNA塩基配列中から、たんぱく質合成に関わるエクソンを含む部分RNA転写し、不要なイントロンを除いてつなぎ合わせて伝令RNAをつくる編集作業のこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「スプライシング」の解説

スプライシング

DNAの遺伝情報mRNAに転写される際に余分なものを切り離して再度つなぎ合わされること。真核生物のDNA上の遺伝情報はアミノ酸配列を指定する暗号部分(エキソンもしくはエクソン)の間に何カ所か意味のない配列(イントロン)が介在していることが多い。DNAの情報はまずイントロンを含んだままmRNA前駆体に転写された後、イントロンを酵素的に切り離してエキソンのみをつなぎ合わせたmRNAができるが、この過程をスプライシングと呼ぶ。この機構によって抗体グロブリン分子の多様性が初めて分子生物学的に説明された。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スプライシング」の意味・わかりやすい解説

スプライシング
splicing

DNAから写しとった遺伝情報のなかから,不要な部分を取り除く分子的な編集作業をスプライシングという。真核生物では,鎖状になっている DNAの各遺伝子はコドン (暗号) としての意味をもたないイントロン (遺伝暗号の中断部分) によって中断されている。メッセンジャー RNAは,イントロンを含んだままで DNAから転写されるため,スプライシングによって不要個所のイントロンを除去する必要がある。

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栄養・生化学辞典 「スプライシング」の解説

スプライシング

 (1) RNAのスプライシング:DNAが複製されてできた第一産物である核のRNAがmRNAになる過程で,イントロン部分が切断除去されることをいう.(2) DNAのスプライシング:2種のDNAを切断結合して,組換えDNAを作ること.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

化学辞典 第2版 「スプライシング」の解説

スプライシング
スプライシング
splicing

転写直後の前駆体RNAからイントロンを切断除去し,エクソンのみからなる成熟型RNAにする過程.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスプライシングの言及

【遺伝情報】より

…したがって核内で転写された直後のRNA分子(heterogeneous nuclear)にも,アミノ酸配列を指定する情報の間に余分な塩基配列が割り込んでおり,そのままの形では目的とするタンパク質の情報にはなっていない。この余分な配列がRNA上で切り取られ,一つのタンパク質の情報が,ひとつづきの塩基配列として完成する過程をスプライシングsplicingと呼ぶ。さらに,真核生物の多くのmRNAの5′末端には7‐メチルグアノシンからなるキャップ構造が存在し,3′末端側にはpoly A構造が付加されている(詳しくは〈RNA〉の項目のメッセンジャーRNAの部分を参照)。…

【核酸分解酵素】より

…たとえば,遺伝情報の翻訳に重要な役割を果たす転移RNA(tRNA)はDNAから転写されたままでは一般に機能できず,この前駆体tRNAがいくつかのリボヌクレアーゼに切断されてはじめて機能を持つようになる。また,高等生物の伝令RNA(mRNA)も,転写されたままのものではタンパク質構造を決定するのに不必要な塩基配列部分(イントロンと呼ばれる)が含まれている場合が多く,リボヌクレアーゼによりこの不要部分が切り取られ,さらに必要部分がつながれること(切ってつなぐこと両方を含めてスプライシングと呼ぶ)が必要である。これらの例は,リボヌクレアーゼが遺伝情報の発現の調節に関与していることを示している。…

※「スプライシング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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