ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オランド」の意味・わかりやすい解説
オランド
Hollande, François
フランスの政治家。大統領(在任 2012~17)。フルネーム François Gérard Georges Hollande。フランス北西部オートノルマンディー地域圏で医師の息子として生まれ,エリート官僚を養成するエコール・ナシオナル・ダドミニストラシオン ENAで学んだ。1979年社会党(→フランス社会党)に入党し,在学しながらフランソア・M.ミッテランの経済顧問として働いた。1980年に ENAを卒業。翌 1981年に国民議会選挙でジャック・シラクに敗れたが,ミッテラン政権の経済問題特別顧問に任命され,次いでピエール・モーロア首相のもとで 2人の歴代政府報道官の官房長を務めた。1988年コレーズ県から立候補した国民議会選挙で当選を果たしたが,1993年の同選挙で落選,1997年に国民議会議員に返り咲いた。同 1997年に保守派のシラク大統領が率いる保革共存政権で首相に任命されたリオネル・ジョスパンのあとを継いで党の第一書記に就任。国民議会議員と,テュル市長(2001~08)をはじめ数々の地方の要職を兼務した。社会党が 2002,2007年の大統領選挙で敗北を喫したことをうけ,2008年に第一書記を辞任した。2011年,次回の大統領選挙の有力候補だった国際通貨基金 IMFの専務理事ドミニク・ストロスカーンがみずからのスキャンダルで候補者争いから脱落した。オランドは穏健な政治要綱を掲げ,党の大統領候補として着実に地歩を固め,同 2011年10月社会党の公認候補に選ばれた。2012年5月,大統領選挙の決選投票で現職のニコラ・サルコジを破り,第五共和政第7代大統領に就任した。2007年の大統領選挙で社会党の大統領候補となったセゴレーヌ・ロワイヤルは ENAのクラスメートで長年のパートナーだったが,落選後パートナーを解消した。その後フランスでは,2015年1月のシャルリエブド事件や 11月のパリ同時テロなどテロリズムの標的になる事件が続いた。オランドは「フランスは戦争状態にある」と述べて国家非常事態を宣言し,対「イスラム国」軍事作戦でアメリカ合衆国やロシアとのさらなる協力を推進した。2016年12月,オランドは再選を目指さない意思を表明した。
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