改訂新版 世界大百科事典 「ズクヨタカ」の意味・わかりやすい解説
ズクヨタカ (木菟夜鷹)
owlet-frogmouth
owlet-nightjar
ヨタカ目ズクヨタカ科Aegothelidaeの鳥の総称。この科は1属7~8種に分類される。全長19~32cm。一見ガマグチヨタカに似た鳥だが,大きさはヨタカに近い。他のヨタカ目の鳥と同様にくちばしは小さく扁平で,先がかぎ状に曲がり,口は大きく,口ひげはよく発達している。これは昆虫や小動物を捕食するための適応と考えられ,口ひげは触角の働きをする。また夜行性で,昼間は樹洞に潜み,夕方から活動する。羽色は灰色や赤褐色で,さまざまな細かい模様があり,止まっているときは見つけにくい。
オーストラリアとニューギニアに分布し,ニューカレドニア島とモルッカ諸島にも1種ずつ生息している。森林やよく茂った灌木林にすみ,単独かつがいで生活している。留鳥で,渡りはしない。食物はほとんど昆虫類である。飛んでいる虫をとらえることもあるが,大部分は樹上や地上で捕食する。したがって,この点では飛びながら餌をとるヨタカより,おもに地上の獲物をねらうガマグチヨタカに近い。飛び方は音を立てず,チョウのようにひらひら飛ぶといわれる。また,木に止まるときには,枝に直立した姿勢で止まり,フクロウ類を思わせることからズクヨタカの名がある。繁殖は樹洞の中で行い,じかにまたは若干の草や羽毛を敷いただけで,1腹3~5個の白色の卵を産む。ときには土手の穴に営巣することもある。しかし,繁殖生態その他の習性はまだ十分にわかっていない。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報