セントラルドグマ

デジタル大辞泉 「セントラルドグマ」の意味・読み・例文・類語

セントラル‐ドグマ(central dogma)

分子遺伝学の基本原理。1958年に英国分子生物学クリック提唱DNA分子のもつ遺伝情報RNA分子を介してたんぱく質分子に一方向に伝えられるという説。中心教義中心命題中心ドグマ。分子生物学の中心原理。

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化学辞典 第2版 「セントラルドグマ」の解説

セントラルドグマ
セントラルドグマ
central dogma

遺伝情報はその担い手であるDNAから直接タンパク質へ移されるのではなく,一度メッセンジャーRNAに移され,それに従ってタンパク質のアミノ酸配列が決まり,形質発現がなされる.すなわち,次の図式で示され,これをセントラルドグマとよぶ(中心命題とも訳される).

この図式の矢印は遺伝情報の伝達方向をさしている.DNAからDNAへの矢印は,DNAがDNA自身を鋳型とする自己複製を意味する(DNAの複製).DNAからRNAへの矢印は,DNAを鋳型として相補的塩基配列をもつRNAが,RNAポリメラーゼによって合成される(転写)ことを意味する.転写のこの矢印は,RNA依存DNA合成酵素(逆転写酵素)の発見によって逆になる場合もあることが示された(点線).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セントラルドグマ」の意味・わかりやすい解説

セントラル・ドグマ
central dogma

遺伝情報の流れは常に DNAから RNAへ,RNAから蛋白質へと流れ,逆流することはないという原理。 1958年に F.H.C.クリックが提唱した。その後,ある種の RNAウイルスで RNAから DNAを合成することがわかり一部修正を受けたが (→レトロウイルス ) ,基本的には蛋白質から核酸がつくられることはなく,核酸から蛋白質への情報の流れは常に一方向というのが現在の定説である。

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栄養・生化学辞典 「セントラルドグマ」の解説

セントラルドグマ

 DNA,RNA,タンパク質の関係について,DNAが転写されてRNAとなり,それが翻訳されてタンパク質になるという遺伝情報伝達の流れを示した説.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のセントラルドグマの言及

【生物学】より

…J.D.ワトソンとF.H.C.クリックのDNA二重らせんモデル(1953)は,遺伝子の本体を明らかにすることにより,生物学再編成の突破口を開いた。1961年に始まった遺伝暗号の解読は数年でほぼ完了し(ニーレンバーグM.W.NirenbergとオチョアS.Ochoa),遺伝情報はDNA→RNA→タンパク質の方向にのみ流れるというセントラル・ドグマ(クリック,1958)が確認され,また遺伝子発現の調節はF.ジャコブとJ.モノのオペロン説で十分説明されるように見えた。一部の分子生物学者は,〈細菌でいえることはゾウでもいえる〉から,生命現象の大筋は解明されたという自信も示した。…

※「セントラルドグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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