センニンソウ(読み)せんにんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「センニンソウ」の意味・わかりやすい解説

センニンソウ
せんにんそう / 仙人草
[学] Clematis terniflora DC.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の藤本(とうほん)(つる植物)。葉は対生し、羽状複葉、小葉は鋸歯(きょし)がない。8~9月、大形の円錐(えんすい)花序をつくり、径約3センチメートルの白色花を多数上向きに開く。花弁はなく、4枚の萼片(がくへん)が平開する。果実は痩果(そうか)で、長さ約3センチメートルの長い羽毛状の花柱が残る。生(なま)の葉をもまないでそのまま手首の内側にあて、扁桃腺(へんとうせん)炎の痛みをとる。有毒植物でもある。山野日当りのよい林縁に普通に生え、北海道から九州に分布する。名の由来は不明。本州、九州の一部には、乾くと植物体が黒変する近縁の別種フジセンニンソウC. fujisanensis Hisauti et Haraがある。センニンソウ属は東アジアを中心として世界中に約300種あり、日本には20種が分布する。つる植物が多いが、直立する木や草もある。キンポウゲ科としては例外的に蜜(みつ)を分泌しない。

[門田裕一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センニンソウ」の意味・わかりやすい解説

センニンソウ(仙人草)
センニンソウ
Clematis terniflora(C. paniculata); sweet autumn clematis

キンポウゲ科の多年草。各地の山野の路傍に生える。茎は長く伸び,まばらに分枝し,表面に多数の縦溝がある。葉は対生し羽状複葉で,3~9枚の小葉をもち,葉柄は曲りくねって他物にからみつく。8~9月頃,葉腋に集散状の円錐花序を出し,多数の白色花をつける。花は直径 1.5~2cm,4枚の萼片は白色花弁状で十文字状に開く。花弁を欠き中央に多数のおしべと,めしべがある。痩果は多数生じ平らな卵形で長さ7~8mm,花柱は 3cmほどに伸び白く羽毛状となる。有毒植物で,その汁が皮膚につくとかぶれるといわれる。同属のものにボタンヅル (牡丹蔓)ハンショウヅル (半鐘蔓)クサボタンなどのほか,観賞用に栽培されるテッセンカザグルマがある。

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