ハンショウヅル

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンショウヅル」の意味・わかりやすい解説

ハンショウヅル(半鐘蔓)
ハンショウヅル
Clematis japonica

キンポウゲ科の落葉性のつる植物。本州,四国,九州に分布し,各地の山林のへりなどに生える。茎は細長くて暗紫色で木化している。葉は柄があって対生し,3小葉から成る複葉でやや硬い。葉柄は茎とともに暗紫色で,小葉は長さ5~10cmあり鋸歯が目立つ。初夏の頃に葉腋から花茎を出し,紅紫色の花を単生する。花は鐘形で下垂して咲き,全開しない。萼片は4個で花弁状となり,長楕円形で本来の花弁はない。痩果には花柱が変化した白色羽毛がつき,長さ約 4cm。高山性の近縁種ミヤマハンショウヅル C. alpinaは北半球の高山帯や寒帯に分布し,葉は2回3出する。花が大きく美しく,4萼片の鐘形花の内部にさらに数片の花弁がある。日本では本州中部と北海道の高山にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンショウヅル」の意味・わかりやすい解説

ハンショウヅル
はんしょうづる / 半鐘蔓
[学] Clematis japonica Thunb.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の藤本(とうほん)(つる植物)。葉は対生し、1回3出の複葉、質は厚くて堅い。小葉は細長い卵形、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。5~6月、長さ約3センチメートルで光沢のある紅紫色花を1個ずつ下向きに開く。小包葉は1対、花柄の中部につく。果実は痩果(そうか)、羽毛状の長い花柱が残る。低山の林縁に生え、本州、九州に分布する。名は、花形半鐘を思わせることによる。紀伊半島と四国には小包葉が花の直下につく変種コウヤハンショウヅルが、中国地方と九州には花に毛のある変種ケハンショウヅルが分布する。

[門田裕一 2020年3月18日]

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