アムステルダム国立美術館(読み)アムステルダムこくりつびじゅつかん(英語表記)Rijksmuseum Amsterdam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アムステルダム国立美術館
アムステルダムこくりつびじゅつかん
Rijksmuseum

オランダアムステルダムにある美術館。17世紀を中心とするオランダ絵画収蔵で知られる。オランニェ公家ウィレム5世のコレクションを基礎とするが,1795年フランス軍の侵入後,その一部はルーブル美術館に吸収され,残りの一部が 1800年ハーグ郊外の夏宮殿ハイス・デン・ボスに設立された国立美術館に収蔵された。1806年オランダ王国の王となったルイ・ボナパルトは,アムステルダムを首都とし,王宮の一部に王立美術館を設立,ハーグの国立美術館収蔵品 225点を移した。その後アムステルダム市から最も有名なレンブラント・ファン・レインの『夜警』とバルトロメウス・ファン・デル・ヘルストの『平和条約締結を祝うアムステルダム自警市民』を含む 6点の絵画の寄贈を受けるなど,作品数は急激に増大。1813年フランスの支配が終わりネーデルラント王国が成立するとともに,美術館はウィレム1世に受け継がれて,1815年には現名称となった。同時にルーブル美術館から作品が返却されるなどして展示場が狭くなり,一貴族邸宅を改造したトリッペンヒュイスに移されていたが,1885年ペトルス・J.H.カイペルス設計によるゴシックおよびルネサンス折衷様式の今日の美術館が開館した。絵画,版画彫刻工芸,アジア美術,オランダ史の 5部門に分かれる。代表的収蔵品は,『夜警』をはじめとする多くのレンブラントの作品,ヤン・フェルメールの『ミルクを注ぐ召使』『手紙』,フランス・ハルスの『新婚夫妻』など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アムステルダム国立美術館
あむすてるだむこくりつびじゅつかん
Rijksmuseum Amsterdam

オランダの首都アムステルダムにある、ヨーロッパ屈指の大美術館。レンブラントをはじめとするオランダ絵画の収集に関しては、世界最大の規模と内容をもつ。オレンジ公ウィリアムの収集を中核とし、多くの公的、個人的収集を加えて今日に至っている。一時、市内の貴族の邸宅を改築して美術館としていたが、1885年、現在の赤れんが造りの広大な建物が完成し、正式に開館した。建物の設計はカイペルス。絵画は、15世紀の初期オランダ絵画に始まり、フランス・ハルス、レンブラント、ロイスダールホッベマ、フェルメールらの巨匠の作品を系統的に展示する一方、群小作家も丹念に集めている。とくにレンブラントは『夜警』『ユダヤの花嫁』など多くの秀作がある。フェルメールは『ミルクを注ぐ女中』『手紙』など。ほかに、オランダの家具、銀器、デルフト陶器を含むヨーロッパ工芸の膨大な収集があり、加えて、東方との交易を物語る日本、中国、インド、東南アジア関係の遺物も豊富に展示されている。

友部 直]

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