ソルベンシーマージン比率(読み)ソルベンシーマージンヒリツ(その他表記)solvency margin ratio

デジタル大辞泉 の解説

ソルベンシーマージン‐ひりつ【ソルベンシーマージン比率】

《solvency marginは支払い余力の意》通常予測を超えるリスクに対して、保険会社にどの程度保険金の支払い余力(余裕資金)があるかを示す指標銀行自己資本比率に相当する。平成8年(1996)施行の改正保険業法に基づいて導入。この比率が200パーセントを超えていれば安全とみなされる。保険金支払い余力比率。

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関連語 準備金 発生 問題

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ソルベンシー・マージン比率
そるべんしーまーじんひりつ
solvency margin ratio

大災害、伝染病の流行、株価暴落など通常では予測しにくいリスクに対し、保険会社がどれほど保険金を支払う能力があるかを示す指標。保険会社の経営健全性を示す代表的指標として欧米で導入され、日本では改正保険業法に基づき、1998年(平成10)3月期から公表が始まった。日本では「支払い余力比率」と訳される。分子に純資産などの内部留保有価証券含み益などの自己資本額(支払い余力)を置き、分母に大災害や資産運用損失など予想を超えたリスク総額の半分を置いて比率を計算し、パーセント(%)で示す。一般の事業会社の自己資本比率に相当し、数値が大きいほど健全とされる。200%の場合、支払い余力とリスク総額が同じことになる。金融庁は200%を下回った保険会社に早期是正措置命令を発動し、マイナスになると業務停止を命令する。ソルベンシー・マージン比率が200%を超えていれば経営は健全とみられがちであるが、過去に破綻(はたん)した千代田生命(2000年)、協栄生命(同)、東京生命(2001年)、大和生命(2008年)などでは破綻前に200%を超えていた。このため規制当局は繰り返し、ソルベンシー・マージン比率の算出基準を厳格化している。

 2008年(平成20)秋以降の世界的な金融危機に伴い、日本政府は2012年3月期から、海外の保険子会社を含む連結ベースで比率を計算するように改めたほか価格変動リスクの大きい株式のリスク量を2倍に引き上げた。2016年よりヨーロッパで適用され、日本でも導入が予想される新規制「ソルベンシー2」では、株式リスク量をさらに厳しく見積もるほか、200年に一度の甚大なリスクへの備えを保険会社に求める見通しである。

 なお保険会社の経営健全性を測る指標にはソルベンシー・マージン比率のほか、本業のもうけを示す「基礎利益」や生命保険会社の収入を示す「年換算保険料」などがある。

[矢野 武 2017年10月19日]

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損害保険用語集 の解説

ソルベンシー・マージン比率

損害保険会社の『支払能力』の指標のことをいいます。
損害保険会社が通常の予測を超える巨大リスクの発生に対して
通常の準備金を超えて持っている支払余力の指標をあらわします。
通常、200%以上あれば、保険金等の支払能力は問題ないとされています。

出典 自動車保険・医療保険のソニー損保損害保険用語集について 情報

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