ドイツ西部,ノルトライン・ウェストファーレン州の都市。人口4万0791(1980)。肥沃なゾースト平野の農工業の中心地で,中世都市として知られる。史料初出は836年だが,6世紀以降メロビング朝期の集落の存在が推定される。カロリング朝後期とザクセン朝期に都市防備を施行,1000年ころ貨幣鋳造権,1100年ころ市場開設権を獲得,塩鉱開発で最初の経済的高揚を経験した。ヘルウェーク街道に沿う有利な位置に恵まれ,バルト海,フランドル,イングランド,地中海諸地域を結ぶ遠隔地商業の仲介者として活躍,1622年までハンザ同盟の重要な構成員であった。ゾーストの都市法はケルン大司教から授与(最初の条文は12世紀前半)されたものであるが,約60ものウェストファーレン地方諸都市のほか,リューベックなどにまで継受され大きな影響力を及ぼした。1200年ころまでに市参事会制度を確立,市民の市政参加を開き,これによって都市貴族とツンフト職人の間のツンフト闘争の発生を未然に防いだ。ケルン大司教の圧力を排除しようとする長年の努力は,1444-49年の〈ゾースト闘争〉でようやく達成したが,遠隔地商業の退潮とともに市の名声も急速に低下,17世紀以降はブランデンブルクに帰属,1817年にはプロイセンの一郡庁所在地となった。
執筆者:魚住 昌良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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