日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイミンタチバナ」の意味・わかりやすい解説
タイミンタチバナ
たいみんたちばな / 大明橘
[学] Myrsine seguinii Lév.
ヤブコウジ科(APG分類:サクラソウ科)の常緑小高木。高さ5~8メートル。枝を折ると裂けやすく、削(そ)げる木の意味からソゲキ(削げ木)ともいう。葉は互生し、倒披針(とうひしん)形で長さ5~15センチメートル、全縁で質は厚く、毛はない。雌雄異株。花は淡緑白色の小花で、暗紫色の点があり、3~4月、葉腋(ようえき)に集まって開く。花冠は5裂して平開し、雄しべは5本、雌花では小さい。果実は球形で径約6ミリメートル、秋に紫黒色に熟す。暖地の林内に生え、千葉県以西の本州から沖縄県、および中国、インドシナに分布する。名は、中国原産と思い違いして、大明(だいみん)国の橘(たちばな)の意味でつけられたものと思われる。材は重くて硬く、斑紋(はんもん)が美しく、装飾用材、器具材とする。またカシ類と同様よい薪炭材になる。また樹皮はラパノンという成分を含み、家畜の駆虫剤になる。
[小林義雄 2021年3月22日]