チェック(読み)ちぇっく(英語表記)check

翻訳|check

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェック」の意味・わかりやすい解説

チェック(格子模様)
ちぇっく
check

格子模様。大柄で3色以上の色糸を使った多彩な格子模様をプラッドplaidとよび、これに対して黒と白、茶と白などを原則として2色ないし3色の比較的小柄な格子模様をチェックcheckといい、両者を区別することもある。元来織りの製作工程から生まれた模様であろうが、プリントで表されたものをも含めてチェックという。その種類は数百種もあろうが、はやりすたりのない古典的なチェックには次のようなものがある。(1)ウィンドー・ペインwindow pane 窓枠に似た縦長の格子。大柄のものでは格子1個の大きさが10センチメートルぐらいのものもあるが、普通よく使われているものは3~4センチメートル前後のものである。おもに女性向きの柄である。(2)ガン・クラブ・チェックgun club check 1874年、アメリカのガン・クラブが採用したチェック。小さな濃いチェックの上に淡色のチェックを十文字に重ねた柄。茶色濃淡によるもの、白に黒と赤の色糸を使ったものが多く使われている。元来スポーツウエアに用いる柄である。(3)グレン・チェックglen check グレン・アーカート・チェックglen urquart checkの略称スコットランドのエルウィック川を挟むグレン・アーカート近郊で織られた格子柄。細かいチェックとやや大きいチェックを縦・横に組み合わせて束ねたような柄。元来、青と白が本格的な配色であるが、今日では黒と白のものがよく使われている。(4)シェパード・チェックshepherd's check スコットランドの羊飼いが愛用していた格子柄。せいぜい1センチメートル角ぐらいの小さく規則正しいチェック。白と黒が一般的であるが、このほか青と白、茶と白の配色もある。(5)ハウンド・トゥース・チェックhound tooth check 猟犬の歯のようにみえる格子柄。日本では千鳥格子、フランスではピエ・ド・プールpied de pouleまたはピエ・ド・コックpied de coqという。チェックの大きさは4~5センチメートルぐらいのもの。黒に白の配色が多い。(6)バスケット・チェックbasket check 縦・横の筋(すじ)を交互に浮かしたり沈めたりしたチェック。日本では網代(あじろ)格子という。(7)ピン・チェックpin check ピンヘッド・チェック、ニート・チェックともいう。微塵(みじん)格子のこと。(8)ブロック・チェックblock check 縦・横同じ幅の格子。日本では市松(いちまつ)とか元禄(げんろく)とよんでいる。(9)タータン・チェックtartan check 正確にいえばタータン・プラッドtartan plaid。スコットランドの高地人highlanderが肩掛けplaidに使っていた多彩な色糸を使った格子柄。今日では子供服や女性服、あるいはコートの裏地などに用いられる。

村元雄]



チェック(Thomas Robert Cech)
ちぇっく
Thomas Robert Cech
(1947― )

アメリカの化学者。シカゴに生まれる。グリネル大学で化学を学び、1970年に卒業、カリフォルニア大学に進み、1975年博士号を取得した。マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士研究員となり、1978年にコロラド大学に移り、準教授を経て、1983年教授に昇格した。ハイネケン賞など数々の賞に輝き、1987年には国立科学アカデミーの会員になっている。

 チェックはコロラド大学でRNA(リボ核酸)の研究を開始した。原生動物のテトラヒメナTetrahymenaの細胞を用いて、リボゾームRNA(rRNA)の切断加工(スプライシング)の実験を行い、RNA中にある遺伝情報をもたないイントロンとよばれる部分を切り離す酵素の発見に取り組んだ。実験の結果、イントロンを切り離す過程では、従来考えられていた酵素タンパク質は必要とせず、RNA自身が触媒の機能をもつことがわかり、1981年にこのRNAによる酵素活性をリボザイムribozymeと命名した。RNAの触媒機能は、1983年に行ったS・アルトマンの実験によって確実なものとなった。この業績によって、1989年にチェックとアルトマンはノーベル化学賞を受賞した。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェック」の意味・わかりやすい解説

チェック
Cech, Thomas Robert

[生]1947.12.8. シカゴ
アメリカの生化学者,分子生物学者。グリンネル・カレッジを卒業 (1970) ,カリフォルニア大学バークリー校で博士号を取得 (75) ,マサチューセッツ工科大学 (75~77) からコロラド大学に移り,同大学教授 (83) 。遺伝情報の伝達役と考えられていたリボ核酸 RNAが,酵素のような触媒機能ももつことを発見 (1982) ,チェックとは独立して RNAの触媒機能を発見した S.アルトマンとともに 1989年ノーベル化学賞を受賞。

チェック

格子柄」のページをご覧ください。

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