空気タービン(読み)クウキタービン(その他表記)air turbine

デジタル大辞泉 「空気タービン」の意味・読み・例文・類語

くうき‐タービン【空気タービン】

エアタービン

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改訂新版 世界大百科事典 「空気タービン」の意味・わかりやすい解説

空気タービン (くうきタービン)
air turbine

保有エネルギーの大きい圧縮空気を作動気体として運転されるタービン。空気のエネルギーをタービン出力に変換し,他の機械の動力源として用いたり,また空気が膨張する際のエンタルピー降下による低温化を利用して空気を液化させ,その構成成分の酸素,窒素などを分離して取り出すために用いられ,後者の場合には膨張タービンともいう。形式は,空気がタービンの羽根車を軸方向に通過する軸流式と,空気が径向きの羽根をもつ羽根車を半径方向に流出するラジアル式とがあり,さらに前者には,空気の膨張時のエンタルピー降下分の仕事をする反動形(反動タービン)と空気の衝動力により仕事をする衝動形(衝動タービン)に分けられる。反動タービンは設計点の効率は衝動形より若干高くなるが,一般に小流量の膨張タービンでは,翼の高さが短いため,漏れ損失が性能に大きな影響をもつ。衝動タービンは漏れ損失が少ないことから膨張タービン用に適しており,また流量調整上でも反動形に比べ優れている。ラジアルタービンには,空気が半径方向に羽根車に流入し同方向に流出する半径流式と,空気が軸方向に羽根車に流入して半径方向に流出する混流式とがあるが,前者は後者に比べ効率が低く,小流量の場合にのみ用いられる。一般に性能面では,流量が小さい場合はラジアル式が軸流式より優れ,大流量になるとそれが逆になる。適用例としては,軸流式タービンはプロペラ送風機や遠心ポンプ駆動用に,また軸流式衝動タービンは低温空気発生用の膨張タービンとして利用されている。一方,ラジアルタービンは,P.L.カピッツァなどにより気体を液化するための膨張機として開発された。構造が簡単で性能も効率が88~90%に達し,軸流式に比べ優秀なものが開発されているが,それぞれ有利な使用範囲があり,これに基づいて形式を選定する必要がある。膨張タービンでは,回転数は毎分104~40×104回転と高速なため,材料も強力軽合金が使用され,軸受気体軸受などが用いられる。空気タービンは,このほか超遠心分離機や研削用といしの駆動,ガスタービン始動用など原動機としての用途もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「空気タービン」の意味・わかりやすい解説

空気タービン
くうきたーびん
air turbine

高温高圧ガスのかわりに高圧空気を用いるタービン。作動原理蒸気タービン、ガスタービンと同じで、高圧の空気を膨張させて動力源としたり、膨張による温度降下によって空気を液化するのに用いたりする。形式は他のタービンと同じで、空気がタービン羽根車を軸方向に通る軸流式と、半径方向に流れる遠心式がある。軸流式は大量の空気を流すのに適しており、大型のプロペラ送風機や高速で回転する遠心ポンプなどの動力として用いられる。遠心タービンは小流量の空気を流すのに適しており、小型で高速回転するものが多く、超高速遠心分離機、研削用砥石(といし)の動力、ガスタービンなどの始動用動力などに用いられる。また空気などを液化するのにも遠心タービンが用いられている。

 空気タービンは蒸気タービンのように水などを必要とせず、またガスタービンのように高温で有害な排気ガスが出ない。そのためきれいな動力源であり、しかも、出力のわりに小型であり、高速回転であるという特長がある。

[吉田正武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「空気タービン」の意味・わかりやすい解説

空気タービン
くうきタービン
air turbine

蒸気タービンと同じ原理に基づき,圧縮機で圧縮された空気が大気圧になるまでに放出するエネルギーで,タービンを回転させて動力を得る機関。高速回転をそのまま利用できるような軸流送風機渦巻ポンプや小型機械と組合せて用いられる。また間欠的に動力を必要とする工場や火気を嫌う鉱山などでも用いられている。また,特殊な空気タービンとして,往復空気流中でも常に一方向に回転するウェルズタービンがある。

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世界大百科事典(旧版)内の空気タービンの言及

【タービン】より

…大きい圧力差でも,複数の圧力段をおくことによって,圧力を順次落として仕事をとり出すことが可能である。 タービンには蒸気タービン,ガスタービン,水車,空気タービンなどがある。蒸気タービンは蒸気のエネルギーを利用したもので,火力発電所で代表される蒸気原動所の動力発生部として用いられ,ボイラーで発生した高温高圧の蒸気を復水器の低圧まで膨張させる間に仕事を発生する。…

※「空気タービン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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