ダルブー(読み)だるぶー(英語表記)Jean-Gaston Darboux

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダルブー」の意味・わかりやすい解説

ダルブー
だるぶー
Jean-Gaston Darboux
(1842―1917)

フランスの数学者。ニームに生まれ、パリのエコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)を卒業後、同校助教授(1872~1873)、ソルボンヌ大学(パリ大学)の力学助教授(1873~1880)、同じく高等幾何学教授(1880~1889)、理学部長(1889~1890)を務め、1884年からは学士院終身会員となり、1900年に同幹事長を務めた。

 彼の研究は主として幾何学に関するもので、直交曲面についての論文(1866)、学位論文の二階偏微分方程式についての論文(1870)がある。また「偏微分方程式の特異解」の論文は1876年に学士院賞を受けた。主著は4巻からなる『曲面の一般理論および微積分の幾何学的応用』(1878~1896)で、彼以前の多くの研究を含み、後世に益するところが多い。

[小松醇郎 2018年9月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダルブー」の意味・わかりやすい解説

ダルブー
Darboux, Jean Gaston

[生]1842.8.14. ニーム
[没]1917.2.23. パリ
フランスの数学者。エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) を卒業後,コレージュ・ド・フランスの J.ベルトランのもとで数理物理学助手 (1866~67) ,ルイ・ル・グラン高等中学校の教師 (67~72) ,高等師範学校講師 (72~73) ,パリ大学の力学教授 (73~80) ,幾何学教授 (80~89) ,理学部長 (89~90) 。すぐれた教師であり有名な数学者であっただけでなく,有能なオルガナイザーでもあった。数学上の業績はほとんどが幾何学に関するもの。ほかに2階の偏微分方程式や関数の近似に関するものやダルブーの定理がある。『曲面の一般理論と無限小解析の幾何学的応用についての講義』 (全4巻,87~96) はダルブーの最も重要な業績の1つであり,その後長い間,微分幾何学の標準的テキストとして読まれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android