バンレイシ科の常緑樹。枝は開張性で樹高数mとなる。果実は熱帯世界の三大美果としてパイナップル,マンゴスチンと並び称されている。冬のはっきりした地域では低温期に落葉する。葉は倒卵形で,果実は多数の心皮が合生した集合果で,径10~15cmの球形か心臓形で黄緑色に熟す。果面は亀甲(きつこう)状をなし,果肉は白色のクリーム状でカキに類似した種子が20個ほど混在する。この混在が食べるうえでの欠点ともなる。種子と果肉部分の分離は容易である。エクアドルからペルーにわたるアンデス山脈の原産。熱帯全域で栽培されるが,やや冷涼で乾季のある高地に良品が生産される。しかし気温が0℃になると枯死する例が多い。無核の系統もあり,品質が良いものでは接木が行われる。やや早めに収穫し追熟後に生食する。清涼飲料やシャーベットとして,ワインなどと混ぜるのによく適する。
執筆者:岸本 修
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
バンレイシ科(APG分類:バンレイシ科)の落葉低木。エクアドル、ペルーのアンデス中腹の亜熱帯地方原産。葉は短い葉柄があり、卵形または卵状披針(ひしん)形で長さ十数センチメートル、全縁で暗緑色をなし、裏面にビロード状の毛がある。花は葉腋(ようえき)に単生し、芳香があり、黄緑色で長さ約3センチメートル。花弁は6枚、内片は鱗片(りんぺん)状で小さい。果実は球形から心臓形で径10~15センチメートル、果皮はコルク質で鱗(うろこ)状に折り重なる。果肉は白色のクリーム状で芳香があり、甘酸っぱい。カスタードアップルの名でよばれ、生食される。
[飯塚宗夫 2018年7月20日]
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