改訂新版 世界大百科事典 「チメドリ」の意味・わかりやすい解説
チメドリ (知目鳥)
babbler
スズメ目ヒタキ科チメドリ亜科Timaliinaeの鳥の総称。この亜科には全部で約280種が含まれる。全長10~40cm,多くは全長25cm以下で,全体に褐色系のじみな羽色のものが多い。形態は多様であるが,多くのものは丸い翼をもち,尾は体の割りに長めである。くちばしは短いものから長いものまであり,脚はわりあい長くてがんじょうである。ヒマラヤと南アジアを中心にして,西はアフリカから東はニューギニア,オーストラリアまで分布している。日本には1種も分布していない。少数の種は,ヨーロッパや北アメリカ西部に分布するが,これらが真のチメドリ類かどうかははっきりしない。よく茂った森林から開けた低木林や人家近くの茂みや草原など多様な環境にすみ,樹冠部,枝葉の間,地上などで昆虫をとって食べる。長い距離を飛ぶことはあまりなく,一般に飛翔(ひしよう)力は弱い。社会性は多少発達していて,繁殖期以外は小さな群れでくらすことが多く,ほかの類の鳥と混群になることもある。休むときには,しばしば枝の上で2羽以上の鳥がくっついて止まり,ときおり互いに羽づくろいをし合ったりもする。繁殖期にはつがいに分かれ,枝の間や地表付近に小枝や葉を集めてわん型の巣をつくる。1腹の卵数は2~5個。しかし,繁殖習性がよくわかっていないものも多い。一つの巣に,つがい以外の何羽かの鳥が関係し,育雛(いくすう)を手伝うことがある。
チメドリ類は分類学上,ゴウシュウチメドリ,ヤブチメドリ,マルハシ,ズアカチメドリ,ガビチョウ,ダルマエナガ,ハゲチメドリの7グループに分けられる。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報