ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツェルメロ」の意味・わかりやすい解説
ツェルメロ
Zermelo, Ernst Friedrich Ferdinand
[没]1953.5.21. フライブルク
ドイツの数学者。ベルリンのギムナジウム卒業後,ベルリン,ハレ,フライブルクの大学で,数学,物理,哲学を学ぶ。 1894年,変分法の研究によって学位を取る (ベルリン大学) 。その後ゲッティンゲンに行き,ゲッティンゲン大学私講師 (1899) ,同大学教授 (1905) になる。ツェルメロの名を不朽にしたのは,1904年,『数学年報』誌に発表されたわずか3ページ足らずの論文『整列可能定理』である。この証明のなかで,彼は「ツェルメロの公理」と呼ばれる,いわゆる選択公理を使い,この公理の是非は 20世紀の数学基礎論の大きな問題になった。 08年,もう1つの大きな業績である『集合論の基礎に関する研究』を『数学年報』誌に発表。これは公理に基づいて集合論を展開することによって,集合論の逆理を排除することと,選択公理の合理性を明らかにすることを目的としており,それによって「ツェルメロの集合論 (集合論Z) 」が確立された。 10年チューリヒ大学教授になるが,健康を害して 16年辞任。 26年までシュワルツワルトで静養。 26年フライブルク大学教授。 35年ヒトラーの政治を不満として大学を退き,第2次世界大戦後 (46) 復職した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報